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全てが終結したこの世界で  作者: 兎鈴
0章 プロローグ
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プロローグ:拠点にて

 Nemesisの拠点は、東京と呼ばれていた場所にある。

 現在は関東エリア中央区という呼び名に変わっているが、今でも東京と言えば大体通じる。

 地下にある拠点は厳重な警備が施されており、外部からの侵入者はレーザー式の機関砲で迎撃され、一瞬で炭になる。

 食糧、弾、燃料、電源、水と言った必需品はかなりの量が貯蓄されており、不自由はしない。

 だが、彩夏はそこに戻る度に、得体の知れない不快感に襲われていた。


「戻ったか」


 ゲートを潜り、拠点の生活区域へ入ると、部隊長であるロバート・エイデンがいた。

 ロバートは、二〇八二年に発生した六・一一テロの被害者で、致命傷を治すために機人化。その後、テロの真相を知り、極東軍へ志願したという。

 平均型(攻撃、防御、速度ともにバランスがよく、汎用性に優れている機人)で、安定した戦闘能力を発揮する。


「どうかしたの?」

「緊急任務だ。詳しくはネットワークの方で見てくれ」


 そう言い残し、ロバートは立ち去って行った。


◆◇◆◇◆


 機人化手術を受けた者たちは共通して、脳を量子コンピュータを埋め込んだ電子頭脳に換装してある。

 二〇七〇年に機人が発明された後しばらくして、脳内の記憶をデータ化する技術が生まれた。そして機人が大量生産され始めた八〇年代から、記憶を移した電子頭脳を機人に組み込み、戦闘能力が飛躍的に向上した。

 電子頭脳は、独自のネットワークを形成し、他の機人とリンクすることによって巨大なネットワークを構築することが可能になっている他、量子コンピュータによる敵攻撃の予測演算や、銃火器の照準補助なども出来る。

 電子頭脳は視界にも介入できるため、視界に文字や映像などを映し出すことが出来る。基本的には思考による操作なので、戦闘時でも特に妨げになることは無い。


《Nemesis Network:オンライン》


 青白い文字が視界の隅に現れた。彩夏は自室に入り、鍵を閉めると、特殊合金のケースから八七式を取り出し、分解整備を始めた。


《緊急任務》

《目標:殺傷ランクBの防御特化型機人の殺害》

《目標地点:現在地から北西方向に約22キロ》

《任務開始時間:35分後》


 ゆっくり出来そうにないわね。


 苦笑しつつ、彩夏は磨き終えた八七式の銃身を本体に組み込んだ。

 ガシャ!という音が、少し狭い自室に虚しく響いた。

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