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全てが終結したこの世界で  作者: 兎鈴
1章 光速を求める敵
14/16

光速を求める敵:第三ゲートの戦闘

「敵襲!」


 ロバートはトラックを急発進させた。そしてすぐに閉じようとする門の中へ、滑り込むようにして入った。


「敵襲だ!お前たちが連れてきたのか?」

「いいや、分からない。とにかく反撃するぞ!」

「分かってる。もうじき機関砲による一斉射撃が始まる。迫力満点だ。せっかくだから見ていくか?」

「そうだな。俺たちも戦列に加わろう」

「軍の人間が加わってくれるのは心強いな」


 搬入口に待機していた人間たちは、全員武装している。対機人の火薬式大口径ライフルだ。


「ほう」


 人間に扮したロバートは、イリヤの方を見てにやりと笑った。


◆◇◆◇◆


 空になったマガジンを地面に落とし、腰のポーチから新しい予備マガジンを取り出す。そしてそれを八七式に取り付け、スコープを覗く。


《弾薬装填完了》

《電力供給率:100%》

《発射可能》


 そして、大体の狙いをつけて、立て続けに引き金を絞る。

 轟音が辺りの砂を舞い上げる。弾頭は真っ直ぐに飛んでいき、閉じた門に大きな穴を穿つ。だが、貫通までには至らないようだ。


「お、そろそろ来るな」


 山の斜面から機械的な音が聞こえていた。次の瞬間、何もなかったはずの地面から火薬式の機関砲がいくつも飛び出してきた。


「ッハハ、こいつは食べ放題だな」


 空になったマガジンをまた地面に落して、新しい予備マガジンを差し込む。そしてクロサは、叫んだ。だが、その音は、幾重もの銃声に掻き消された。

 クロサの身体に、無数の銃弾が迫った。


◆◇◆◇◆


「な……ッ!」


 その様子をモニタールームで見ていた人間は、目を見開いて驚いた。よく見ると、男は嗤いながらその場に立ち尽くしている。

 何十、何百、何千という銃弾を浴びておきながら、傷一つ付かない。

 これはどういうことだ。

 受話器を取り、震える手で内部の人間に報告をする。


「き、緊急!コードA-1!繰り返す!コードA-1!」

『どうした』

「南側第三ゲートが機人によって攻撃を受けています!死者一名。機関砲を全て起動し一斉射撃を行うも、敵に傷一つ付けられません!」

『何だと!馬鹿を言うな!』

「本当です!」


 その時、ガチャリという、扉の開く音がした。

 搬入口のすぐ上にあり、防音とはいえ、ここまで戦闘音が聞こえるほど近くにあるこのモニタールーム。内部に敵が侵入したら、まずここが狙われるのは間違いない。

 だが、平和ボケしてしまった人間は、そんなことに気付かない。通話をしていた男は、構わずに話を続けようとした。


『とにかく、今から緊急会議を行う!そこで待ってろ!』


 プツリ、という通話が切れた音がした。


「クソッ!緊急事態なのに……!」

「そうだな、緊急事態だ」


 男が振り返る。そこには、二体の機人が立っていた。


「な、誰」

「さようなら」


 ロバートは男の首を左手だけで掴み、右手で頭を掴み、捻った。

 バキッという音がした後、男は絶命した。


「……ここまあらかた片付けたわね」

「そうだな。あとはクロサがそこの門を破壊してくれれば、次の段階へ移行できる」

「それじゃあ早く移動しましょう」

「賛成だ。ここで巻き込まれたくない」


 モニタールームには男女数名がいたが、この一人を残して、イリヤとロバートが音もなく殺していた。

 人間が着ていた綺麗な戦闘服を剥ぎ取り、それに着替えた二人は、急いでその場から離れた。


◆◇◆◇◆


「そろそろ時間か」


 門の前に立ったクロサは、傷一つ付いていなかった。それどころか、八七式でほぼ全ての機関砲を潰していた。まだ目の前にある機関砲だけはクロサに向けて弾を吐き出し続けているが、八七式から撃ち出された炸裂貫通弾によって木端微塵となった。

 そして、クロサは自分の体の中に蓄えてある膨大なエネルギーを、半分ほど取り出した。

 それを思いっきり、扉にぶつける。

 ゴゴォォォォオオオ!という轟音と共に、無数の金属塊が凄まじい速度で飛んでくる。

 だが、その金属塊はクロサより後ろに行くことはなく、ある一定の場所まで飛ぶと速度を失い、真下に落下した。


「作戦の第一段階を完結。これより第二段階へ移行する」


 八七式を持ったまま、クロサは人間の住む世界へと侵略して行く。

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