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第十五章、絆4

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html


冬休みも過ぎて、会社に復帰した春菜は、



やはり休み明けで忙しかった。



ただ一人だけ、上を向き口を開けて、



コンタクトレンズと、格闘していた洋子が居た。



洋子、「あ~もぉ#!、難しいわねこれ..」。



すると隣の席の里美が、「なによそれ?、あんた目にそんな物入れて、大丈夫なの?」。



洋子は上を向いたまま、「これ高かったのよ!」。



里美、「幾らなのよ?」。



洋子、「一枚4万..」。



里美は驚いて、「はぁ~?、二枚で8万!、ボーナス全部注ぎ込んだの?」。



洋子、「貯めた金で買ったのよ!」。



里美は、あくせく動いている、春菜に声を掛けた。



里美、「ちょっと、ちょっと春菜!、未来人ならこれ入れられない?」。



春菜は洋子のデスクに来て、置いて有った、もう一つのコンタクトレンズを、



人差し指の先端に付けて、上を向いている洋子の右目に、パ!と落した。



すると洋子が摘んでいた、もう一つのコンタクトレンズを、



やはり人差し指の先端に付けて、左目に落した。



すると洋子、「流石は未来人、慣れてるわね~」と、感心していた。



春菜は書類に、目を通しながら、「私も前は、コンタクトをしていたの..」。



里美、「昔は..って、今はどうなのよ?」。



春菜は里美を見て、「近眼はレーザーで治しました..」。



里美と洋子は怖がり洋子が、「あんた、殺人光線目に入れて大丈夫なの..」。



実はこの当時、レーザー光線と言うと、殺人光線と言われていて、



軍事の最先端武器意外に、使っている用途は無かった。



春菜、「はい、レーザー光線を網膜に当てて、焦点を回復させる治療法です」。



里美と洋子は、訳が解らずポカーンとしていた。



すると明子がやって来て、「春菜の時代は、



そのレーザーは、幅広く色んな分野で、応用しているのよ!。



ダイナマイトだってそうでしょ!、ノーベルさんが平和利用する為に、



開発した物は戦争に使われてから、平和利用されたのと同じで、



レーザー光線だって、そうした道を経て医療分野に、応用されたのよね!春菜..」。



春菜、「明子さん本当に、先を見る目が有りますね!、その通りです。



レーザーが 一般家庭に入って来たのは、CDコンパクトディスクと言う、



音楽レコードに変わる、画期的な音楽記録ディスクで、



レーザー光線の直進性を生かし、今までレコードの溝を、針がトレースしていた物を、



レーザー光線が読み取る方式に変わり、レーザーは広い分野で、活躍する様になりました。



用途としては、記録と再生する事が主で、音楽だけでは無く、



映像記録の分野でも、活躍する様になりました。



医療分野でも用いられ、手術の時に使うメスも、



レーザーメスと言う、金属のメス寄り細かく切れ、ガンなどの腫瘍切除や、



焼き切りなどにも応用され、更に用途の研究が進んでいる最中です」。



周りに居た社員達は、それを聞いて、「お~!凄い」と、声を上げたのだった。



それを聞いて、益々頭が混乱する里美と洋子であった。



そしてお昼を向かえ、三人集と春菜は、近くの定食屋で食べていた。



皆楽しそうに食事をしている様子は、春菜にとっては、



大勢の親戚と食事をしている様に感じた。



皆他人ではあるが、とても親近感が湧いた。



自分の居た時代と、この時代の何が違うのであろうかと、不意に考えた。


それは香り、それともこの場のレトロな雰囲気。



それとなく、周りを見回す春菜だった。



そして何かに気づき始めていた。



そう、春菜の時代は他人には、警戒心がある。



春菜が居た時代の人々は、自分の事を棚に上げて、



自己中心的な人が多くなり、お互いに自己中心的なので、



横に居る他人を悪く見る傾向にあった。



すると心に分け隔てを自然と作り、



警戒感を抱く為なので有ろうと思った。



良子がその春菜の動きを捉えて、以心伝心出来た。



良子、「春菜、世知辛い世の中の末には、必ず人々は思い直して、



また触れ合える時代が、やって来ると思うの..」。



春菜、「お母さん、何でも人は失敗して見ないと、



本当の幸せは見つけられないと思うの」。



圭子、「そうね、その失敗を明日の糧に、変えて行く事が出来れば、



本当の明るい未来は、来るのかも知れないわね..」。



洋子、「取り合えず、あんまんが未来に有る事が、分かったからいいわよ!」。



春菜、「私の時代はECOと言って、環境に優しい物を作る方針が、



内閣法案で打ち出されたの。



今まで産業で、川を汚し海にはヘドロが沈着して、汚い浜名湖畔が存在している。



日本産業が低迷したと同時に、川や海が浄化されつつ有るの。



発電も風力に変わり、原子力をなるべく使わない方針で、進められていたの」。



圭子、「戦争と同じよそれは、人々を無くし、歴史上の建造物を壊し、



挙句の果ては、民は戦った意味がよく解らないまま、終戦を迎えた。



その時初めて、命の尊さを国は知る事になる。



国民の人数は大幅に減少して、



生めや!作れや!の国の方針で、人口爆発は起きて、産業も爆発的に潤った。



その果ては、バブルと言う所謂泡の如く、消えて行ったお金と好景気。



すると少子高齢化が進み、あの戦後直後の様に、若者は大幅に戦死して、



残された者は、老人と女性が大半だった」。



良子、「何時でも同じ繰り返しなのよ。



中国4000年も前は、どの国よりも栄え、



時として支配者が、他国から攻め入られるのを恐れ、



鎖国をすると国は栄えなくなる。



これでは駄目だと、時の支配者は開国をして、貿易を盛んにすると、



いずれ春菜が居た時代の流れが訪れ、低迷して行く」。



洋子、「まるで波打ち際の様ね。



寄せては返しの繰り返し」。



春菜、「いずれにしても、この時代の人々は飢えを体験した。



私は五体満足に育ち、大人になってから仕事に飢えた..。



でもそれは、自分の甘さで考え方を変えて、



あの裸一貫から、モーター事業を立ち上げた人の様に、



自分がコツコツと、事業を営むことを考えなかった。



初めてこの時代に降り立って見て、そうした努力をして、



私の居た時代で、成功した人の事を知ったの」。



良子、「前世のお父さんも、その一人でしょ!」。



春菜、「現世のお父さんは、あの不思議振りで、



どうして現世の母と結ばれたか、これからじっくり観察して行きたいの..。



早速これから母の祖母の家を、そっと覗いて見るつもり」。



三人集は大笑いであった。




この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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