第十五章、絆3
卸本町の蜃気楼オリジナル文章
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星がきらめく夜に、路地を歩く杉浦と春菜がいた。
外灯の灯りは、街角の裸電球が照らし、その灯りの前で二人は佇んだ。
春菜は夜空を見上げて、「星が綺麗だね」。
杉浦も夜空を見上げて、「春菜ちゃんの時代も、星は綺麗だよね?きっと..」。
春菜、「うん、街の明るさに隠れるから、これ程綺麗では無いけど同じよ」。
杉浦、「よかった!、星は未来でも輝いていないと、寂しいからね..」。
春菜、「そんなに、無理して誠実に私に対応しなくても、
あなたが私を思う気持ちは、伝わるんだけど..」。
杉浦、「春菜ちゃん..」。
杉浦はその時、春菜を見詰めた。
春菜、「プレーボーイと言われて、癪に障る君が切ないの、
あなたはキザでは無く、ロマンが欲しいの、それを女性に求めた」。
杉浦、「そうなのかな~、俺には解らない、ただ理解してくれる女性が、欲しかっただけさ」。
春菜、「私が今、君って言った事、癪に障った癖に..」。
杉浦、「そんな事、嘘って言ったら、
俺の本心に嘘を付いた事になるかな..」、人差し指で、鼻を擦った。
春菜、「私を呼び捨てに出来ない理由は、大事に行きたいからでしょ!」。
杉浦、「そこまで俺を読んでいたか、君は流石に未来人だな..」。
春菜、「私の事をもう未来人だとは、思ってない無いはずよ!、
あの海であなたは私に、大事な物を打ち明けた。
私を心から愛してるから、未来人では無く、
同じ次元に生きている、恋人だと思ったから」。
杉浦、「あぁー、君なら理解してくれると思ったからさ!」。
春菜、「杉浦君、私を愛してるから」。
杉浦、「君を人目見た時から、飾らない君が輝いて見えた。
女性は心にも化粧をする。
でも君は有りのまま、自分を表す。
君は自分を素のまま、表していた。
そんな君が輝いて見えた。
未来人なのに、素顔を常に晒して皆なに対応する強さが、
とても魅力的に思えた。
時にして場をわきまえて対応して、時に自分を美しく見せる場では、
寄り自分を引き立たせる君が、美しく思えたから、君を呼び捨てに出来なかった」。
春菜、「無駄を遣ると、めんどくさい事になるの」。
杉浦、「ストーカーが、纏わりつくからだろ!」。
春菜、「流石ね!、本物を掴む人は解ってる!」。
杉浦、「それは嘘偽り無い、心の繋がりを得る為の工作。
中近東の女性は、体や髪を隠し顔を覆う衣装を、身に纏う事と同じさ!」。
春菜は、杉浦を見詰めて、「何時までも、私だけの心の友でいて..」。
杉浦も、春菜を見詰め、「あー、その言葉そっくりそなまま君に返すよ」。
そして二人は抱き合い、口付けをした。
口付けを終えると杉浦は、「春菜、良子さんが居ない前では、呼び捨てにするよ!」。
春菜はその時、微笑んだのであった。
それから二人は杉浦のアパートに行き、夜空を眺めていた。
杉浦は部屋に置いてあった、天体望遠鏡を夜空に向けて、春菜に星を説明していた。
春菜も熱心に説明を聞き、天体望遠鏡で夜空を眺めた。
春菜、「オリオン座が、こんなに近くに見えるなんて、素敵ねぇ」。
杉浦、「春菜ちゃんの時代は、こんな遅れてる趣味持ってる人は、居ないだろうね..」。
春菜、「馬鹿にしないでね!、私の密かな趣味は、天体観測とプラネタリュームよ!。
ただ杉浦君みたいに、そこまで詳しく無いのは悔しいけど、
部屋には天体望遠鏡は、常に置いて有るの、その趣味のルーツは、
私の父親の趣味は昔から天体観測で、
私が子供の頃は、夜中に近くの山奥に行き、
一晩中父は、小さな娘と星を眺めていた事も有ったのよ、
ただ父親の学生時代は、あんな変な人だとは、思いもしなかったけど..」。
杉浦は笑いながら、「そう言えば、若かりし頃の自分の、父親に遭遇したんだよね」。
春菜、「夢は豊富だったみたいね!。
ただ叶いそうも無い夢を見てたけど..」。
杉浦、「素敵なお父さんだよ!、夢が豊富な青春時代を迎えてたのだから」。
春菜、「でもこんなにも、オリオンやスバルが綺麗だなんて、
私の時代では有り得ないよ。
私が幼い頃はすでに、天体望遠鏡の精度は、この望遠鏡の100倍の倍率を誇ってたけど、
山に行って見ても、ここまで輝いて見えなかった」。
杉浦、「それは大気だよ!、未来は大気が今より汚れているのさ!」。
春菜は同じ事を、昔何処かで聞いた覚えがあった。
だが思い出せないまま、夜空を見上げてた。
そんな杉浦の横顔を見詰め、「そうだね、あなたの心も
一生曇らないで、このままで居て欲しい..」。
杉浦は春菜に振り向いて、「へ..?」。
すると春菜は、部屋の蛍光灯の電気の、スイッチの紐を引いて灯りを消した。
そしてカーテンを閉めて、「今から夜空に浮かばない?、
あの輝く星の様に、私達も星になって輝こう..」。
そして二人は、今宵輝く 一つの星なったのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




