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第十五章、絆2

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html


夜も更けて行った最中、柿本と良子は、デパチカの食料品コーナーで買い物を済ませ、



柿本の新居へと足を運んだ。



元浜町に在る、アパートにたどり着くと、



良子はアパートを見て、「どこがボロアパートなのよ#!、新築アパートじゃない!」。



柿本、「本当はもっと、安アパートに住む予定が、



俺が営んでいた不動産通して、ここの大家と知り合いで、



空いてる土地に、アパート経営を進めたんだ。



アパートが出来上がって間も無く、不動産を畳んでいる最中、



ここの主人が遣って来て、『前のマンション売り払って、住む所探してるなら、



最初にあんんたが住んで欲しい』と、



せがまれて、『あんたなら安くするから頼む」と言われて、ならという事で住んだ」。



そして部屋に入り、部屋の電気を点けると、目当たらし室内は良子にとっては、



何処か懐かしい香りがしたのであった。



ふと台所に目を遣ると、フライパンが気になり、



台所に行きフライパンを持って、「これ、私と住んでいた時の、フライパンじゃない?」。



柿本、「皿も鍋もそうだ!」。



テーブルに置いて有った、ポットを見た良子、「これも、昔使ってた奴でしょ!」。



柿本、「そうだよ!」。



良子、「あんた金持ちになったら、住む所とか車とかにお金掛ける前に、



もうちょっと日用品にお金掛けなさいよ!」。



柿本、「やはり女だな、そう言う所に目が行くのは..」。



テーブルに先ほど買った、食料品を置いて、「あんた部屋は、綺麗にしてるわね。



ちゃんと片付いてる」。



そう言って居間に行き、押入れを開けた。



良子、「押入れも片付いて..」と、言い掛けて、



そこに畳んで仕舞って置いて在った、布団に目を遣った。



良子、「ねぇこの布団、昔私と寝てた時の布団でしょ!。



嫌な思い出が詰まってる布団だわ、新しいの買いなさいよ!」。



柿本は、急に態度が変わり俯いて、「沁みったれなんだ俺は、



お前が出て行ってから、お前の温もり欲しさに、その布団が捨てられない。



生活用品も、新しい物を買わないのは、何時もお前と暮らしていた事を、



忘れたく無かったからだ。



何時もお前が居る様な気がしてた。



何時もお前と飯を食って、喧嘩したり笑ったり、



無くして初めて、己の情けなさを知った俺だった。



情けない単なるダダ子っに過ぎなかった。



お前に出て行かれてから、一週間も経たない内に、寂しくて堪らなくて、



お前の枕を抱いて寝たよ、馬鹿だな俺..。



青森では、番張って誰にも負けない俺が、女一人養えない情けなさに、



一人後悔して、お前に謝る言葉すらも出てこない。



ただひたすら、お前の枕に着いた香りを嗅いで、



酔っ払って泣きながら寝る毎日だった。



今でもその習慣が抜けなくて、お前の枕を抱いて寝てる、情けない奴だ俺は..」。



良子は、柿本の所に歩いて行き、「お母ちゃんが居ないと、眠れないのでちゅか?」と、



赤ん坊をあやす様な言葉で答えた。



柿本は、うなだれて、「言い返す言葉は無いよ..」。



良子は微笑み、「ば~か」。



そう言って居間に行き、押入れから布団を出して、敷き始めた。



すると明らかに、泣いて抱いて寝いてたと見られ、枕は染みだらけで有った。



良子は布団を敷き終え、布団の上に座った。



良子、「春菜も未来で生まれ変わって、幸せ真っ盛りよ」。



柿本、「また子供が出来るの、怖いんじゃないか?。



しかも下ろさせた男と、また寝るなんて」。



良子、「今度はあんたがなんと言おうと、生ませて貰うから..、



それにね!これ」と、ポケットからス○ンを取り出した。



それは春菜から貰った物であった。



柿本、「それ何処で手に入れたんだ?」。



実はこの当時、とても高価な物で、



しかも薬局薬店で、女性が購入するには、抵抗が有ったので驚いた。



良子、「春菜の財布に入れて有ったのよ!。



会社で杉浦君との交際の事で、私と揉めた時、社員の前で堂々とこれ出して、



『これが有るから、子どもが出来る心配は無い』って」。



柿本、「やるなぁ~、相変わらず大人しい顔して..、



所で春菜の分は?、お前がそれ持って来たら、春菜が使えないだろ!」。



良子、「あの子、三つも持ってたのよ!。



それにね、未来はとんでもない、伝染病が流行らしいのよ。



エイズと言って、性的感染を起こす所謂性病で、掛かると潜伏期間が長くて、



生んだ子供も感染する事が多く、発病すると体中に黒い斑点が出来て、



有りと有らゆる病気の抵抗力が無くなり、最後は脳障害を起こし、



幻覚を見て死んで行く病気が、世界中で発症するらしいのよ。



なので年頃の娘息子は、これを持っているのは、常識だそうよ」。



柿本、「何でも未来は、世知辛いぜ..」。



そう言って部屋の電気を消した。



しばらくすると暗闇で、「何よ#!、なにもたもたしてるのよ#」。



柿本、「せかすなよ!、安全ネット被せてる最中だ!」。



良子、「工事は始まってるのよ#!、ネットを被せるのは、第二工事の時にして#!」。



柿本「へ!..」。



今宵突貫工事が、再開されました。



とさ!。



この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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