第十五章、絆
卸本町の蜃気楼オリジナル文章
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年が明けて会社も冬休み、三人集昭和44年組と春菜は、
会社の同僚や上司の家を回り、お年始を済ませた。
そして近くの神社で、家内安全、縁結祈願を済ませ、露天で羽子板を買った。
その後四人は、圭子の実家を訪れて、中庭で羽子板で遊んでいた。
夜を迎えると、お雑煮を頬張り、圭子の家族とこの四人は、
正月番組を見て楽しんでいた。
そのまま四人は圭子の家に泊まり、あくる朝家の居間でみかんを食べていると、
同僚がお年始にやって来て、羽子板で盛り上がり、
近くの広場で子供達に混じって、凧を上げていた。
次の日、皆個人個人プライベートを堪能していた。
洋子は実家で、現金で貰ったボーナスを数えていた。
圭子は自分の部屋で、レコードを掛けてクラシックを聞いていた。
春菜は杉浦に寄り添い、街でデートをしていた。
が..。
例のごとく..。
良子、「ちょっと#春菜ぁ!、杉浦君の肩に、頬を寄せるの止めなさい#!」。
柿本、「いいじゃね~か!、子供が出来る訳でもあるめ~し..」。
良子、「あんたねぇ#、その成り行きで妊娠でもしたら、誰が責任取るのよぉ#!」。
柿本、「杉浦君に任せとけばいいだろ!、金が無ければ俺が払ってやるから!」。
良子は柿本の前に立ち塞がり、「ちょっとどう言う事よ#!。
春菜を下ろした金が無くて、私に払わせておいて#、今は大分大盤振る舞いねぇ#」。
柿本、「謝ってるだろ!、それにこれから繕うから、二人から放れてやろうぜ!」。
良子、「繕う?、そんなに今金が有るの?、財産投げ売った奴のセリフ#?」。
柿本、「財産売たって言っても、一文無しでは無いぜ!。
不動産で儲けた金は、大分貯金して有るんだよ!」。
良子、「じゃ~何で、ボロアパートなんて住んでるのよ#!」。
柿本、「設計士の免許取得したら、箱がいるだろ!それなりに、
運転資金の為に取って有るんだよ!」。
良子、「それなら直ぐその箱、建てなさいよ#!、
あんな豪華なマンションに住んでいて、
私と春菜は、あのボロの寮に住んでいるのよ#!、
自分だけ優雅な生活して、下ろした娘と母親は、
品祖な生活させて置いて#、この人でなし#」。
柿本、「最初から、お前があそこに住んでる事を知っていれば、
一緒にマンション住む様に誘ったよ!」。
柿本は呆れて、良子を抱き上げて、「お二人さん、お幸せに!」と、言って去って行った。
良子は抱かれながら暴れて、「放しなさいよこの強姦男#!、
何処連れてくのよ、私を犯す気なのね#!、そんな事したら今度こそ殺してやる#」。
柿本、「うるさいよ!、お前が二人の後ろにベッタリくっ付いていると、
落ち着いてデート出来ないだろ!、そっとしといて遣れよ!」。
良子、「うるさい#!、私を犯して子供が出来たら、
今度は大きな土地買って、庭作って貰うからねぇ~、家も三階建てで、
子供部屋は10畳は、設けてもらうから..」。
柿本、「痛てぇ!」。
消えて行った良子と柿本であった。
残された杉浦と春菜は、手のひらを返して、「ヤレヤレ ┐(´д`)┌ 」と、
呆れ果てたのであった。
春菜と杉浦は、映画館に足を運んだ。
春菜はこの時代の映画館の広さと、画面の大きさそれはシネマスコープ。
場内の端から端まで、画面で覆い尽くされていたので感動した。
更に場内の造りが、まるでオペラで会場の様な、芸術的な造りで驚いた。
人々もまるで、そのオペラを見に来た人の様に正装していた。
映画館は、人々の色んな声が聞こえて来た。
小説の一説で、『ざわめく観衆の中で..』とは、
この事を表すのかとまで、思った春菜だった。
映画が始まると、今では考えられない程、人々は手を叩いて喜んだ。
笑うシーンでは、人々は大声で笑い、泣くシーンでは声を上げて泣いた。
自然と春菜も泣けて来た。
感動するシーンでは、歓声が上がりお客が一心同体で、
その映画を分かち合っていた。
映画を見終わって、街を歩くと街には露店が並んでいた、
何気なくたい焼き屋を見詰める春菜、「やす~い..」と、呟いた。
杉浦は笑いながら、「春菜ちゃんの時代は、一匹100円かい?」。
春菜、「相場110円..」。
杉浦は驚いて、「冗談で言ったのに、冗談じゃ無いねそりゃ~高いや..」。
そのたい焼きは、一個30円だった。
春菜、「大人買し様かな..」と、呟くと、
杉浦は、「大人買?、子供買いとどう違うの?」。
春菜、「大人買とは、例えば駄菓子屋で、子供のお小遣いで少量しか買えない物を、
大人の小遣いで大量に買う事なの」。
杉浦、「へ~!、未来の人は上手いこと言うね、アハハハハ!」と、大笑いだった。
大人買はしなかったが、たい焼きを数引き買って、食べながら街を歩いていた。
春菜、「うま~い!、これは味は変わらないのね!」。
杉浦、「変わられたくは、無いけどね..」。
春菜、「確かにね~アハハハ」と、嬉しそうに笑った。
そして自然と、雰囲気のいい喫茶店でお茶をすると、
日も暮て、雰囲気のいいレストランへと、導かれる二人だった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




