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第十四章、日々2

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html


騒がしい毎日を過ごしていた春菜だったが、



自分が居た時代よりも、楽しかった。



或る日曜日、春菜は街に良子と買い物に出ると、同僚の女性社員に会った。



話も弾みそのまま、街の喫茶店でお茶を飲む事になった。



新人の二十歳の井上 節子が、「洋子さん、懲りずにまだ、



携帯電話探してるのよ」。



会社でもベテランの鈴木 喜代子が呆れながら、「そうなのよ、



血眼で電気屋から、浜松中の質屋を駆けずり回って探してるのよ!」。



春菜、「私がこの時代の事情、知っていれば洋子さんに相談したのに」。



節子と喜代子は同時に、「駄目よ!」。



喜代子、「あんなのに、そんな価値の有る物見せたら、気が狂うわよ!」。



節子、「そうよ、春菜さん 一生脅かされて、放れてくれないわよきっと..」。



良子、「もうすでに、餌食よあの二人から#!」。



春菜、「そうでもないですよ、



そうならない様に、選んで未来の情報教えていますから」。



喜代子、「そう、そうよね!、意外に春菜はしっかりしてるからね!。



弱そうだけど、良子寄りも度胸も有るし、たくましいからね、アハハハハハ」と、笑った。



良子、「負けたわよ、この子に頭が上がらないわ。



強姦が来た時でも冷静で、銃弾かすめた時でも、



毅然とした態度で皆なに笑顔で、救急車の中に乗り込んで」。



春菜、「恐ろしいですよ40年後の未来は、東京で夜な夜な遊んでいたら、



麻薬、暴行、性犯罪なんて当たり前に起きますから、



油断していれば、命を落しかねません。



40年後の強盗や泥棒は、殺してでも奪います。



証拠隠滅の為に、家を燃やしたりします。



強姦も顔を見られれば、殺して逃げます。



麻薬も自ら求めなくても、油断してると無理やり遣らされたりします」。



東京でも地方でも、営利目的なら手段を選ばず。



私の時代には、オレオレ詐欺と言って、お年を召した方の家に電話をして、



その方の孫を装い、『おれ..おれおだよ、今会社の金使い込んで』とか、



『事故を起こして、危ない人から脅かされてるから、



銀行のこの口座に、大金振り込んでくれ!』とか、



あの手この手で、お金を奪いに来ますから、



他人の言う事を、信じてはいけないのが常識です」。



皆さん固まり同時に、「こわ~い」と、呟いた。



喜代子、「そうか、だから春菜はこの時代に居たいのね!。



春菜から言わせれば、不便なのに」。



春菜、「便利かもしれません、私の居た時代は、



でも、人々は立前は誠実なのですが、いざ自分に降りかかる災難は、



人に擦り付けたい人が多いですね。



会社の責任も、負いたくない人が多く、



自分が不利になりたく無い 一心で、



立場的に不利になったら、今日は同僚、



明日は他人行儀と言う現状を、目の当たりにした事は多かったな..」。



節子、「具体的にその、『明日は他人行儀』とは、どう言う事が有るの?」。



春菜、「例えば、上司が退職されますよね。



会社で上司だった頃は、部下が慕ってくれます。



でも上司が会社から居なくなったら、



誰も退職された上司の家など尋ねません」。



良子、「つまり、会社で上司を立てる事で、



自分の立場の、身の安否を気遣ってるけど、



会社からなんら力の無い人になったら、冷たくあしらうと言う事ね」。



節子、「なるほど、それは上司だけでは無く、同僚も仕事相手として、看做さなくなったら、



相手にしなくなる訳ね!」。


春菜、「それが媚びてくると、水面下でいじめたり、少しでも体の不調や、



弱い所を見せると直ぐ、上司の耳にそれとなく入れるので、気が気では有りませんでした。



給料が高いから役付は捨てられ、会社は平社員と社長と言う、



合理性を求めましたが、ただ単に役付は役が付いた訳では無く、会社の柱だったのに、



その人を見捨てた結果、会社は歯車が回らなくなり、



廃業して行った大企業は多く存在します」。



皆さん、「複雑ね~」と、口を揃えた。



春菜は微笑んで、「この時代の穏やかな雰囲気も、生活臭も、



人々の優しさも、個人店での会話も、私の時代には、失われた物なの。



凄く頑固な人は多いけど、その分親身になって考えてくれたり、



アドバイスしてくれたり、その行為は決して間違った事は言わないの。



媚びて無いし、良い物を提供してくれる熱意は、時に頑固だとも思えるけど、



真の商人魂の表れだと思う。



私の時代は、この時代のおせっかいな、人は居ない代わりに世知辛い。



友達や親兄弟が居ても、携帯電話が有ってもどこか孤独なの。



それは何故か、ここに来て初めて気づいたの。



うるさい!、めんどくさい!、ひつこい!、ほっといてくれ!、と言う物を無くし、



合理的な都市を創ったら、見た目には綺麗だけど、



寂しい街に成ってしまった気がする」。



節子、「ごめんなさいね、春菜さんの事では無いの。



宇宙人を描くと、どこか冷たくて無表情で、冷酷な感じがする。



時代が進化すると、人間で有れ宇宙人で有れ、



皆生物は同じ方向に、進むのでは無いかと思うの」。



喜代子、「そうね~、確かにそうだと思う」。



良子、「余分な物を無くして行ったら、何も無くなった」。



春菜、「そう、結局私の時代の建物創りは、明るく広く無機質の様な気がします。



でも不思議な事に、繁盛している大型店舗は、無機質の正反対の、



広いスペースに、どこに何が置いて有るか迷う程、



ゴチャゴチャ物が置いて有って、歩く隙間が無い程、狭いお店が若者達の穴場なんです。



何でも売っていて、フロアーの仕切りが無くて、生活用品、雑貨品から、



音楽製品から下着まで、それらがバラバラに置いて有る店が、人気の的を得ています」。



節子、「へ~皮肉ね~、アハハハハハ」。



その後、喫茶店を出た良子と春菜は、



洋品店に入り、店主と会話が弾んだ。



どこの店に行っても、その店の商品以外の話で会話が弾む。



街角の八百屋も果物屋も、売り物の話よりも、世間話の方が多かった。



店主に気に入られると、必ず名前を覚えてくれた。



次に店に出向くと、自分の名前を呼んでくれた。



ガツガツしていない、媚びなてない、どちらかと言うと、



商売そっちのけで、お客と会話したいだけで、商売を営んでるのかと思う位、



商売とは関係無い話をしてくるので有った。



時には気に入らない客には、『買ってくれなくていい#!』とまで、



言い放つ頑固な店主も居たりで、今では考えられない、商売方式だった。



逆に言えばそんなに媚びなくても、店を開けばそれなりにお客は根付いて、



必ずその店で買ってくれたので、客側も商売側も、のんびりしていた時代だった。



春菜は素直で有る、なのでどの店に行っても気に入られ、良い商品を与えられた。



客も商売屋も、思いやる事でお互い、



特を得た時代と言っても、過言では無い時代背景だった。




この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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