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第十三章、ゴーゴーダンス3

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html

救急車が到着すると、喫茶店から春菜がコートの袖を通さず、



コートを羽織、杉浦、柿本、良子に付き添われて出て来た。



社員達は近寄って、春菜に安否を確認する。



春菜も社員達に微笑んで、「かすり傷だから、大丈夫」と、だけ言い残し、



救急車の中に入って行った。



良子は杉浦に、「私達だけで病院行くから、杉浦君は家で待っていて、



怪我の処置が済んだら、病院から自宅へ連絡するわ。



有難う、春菜を守ってくれた事」と、頭を下げた。



杉浦は何も言わず、良子に微笑んだ。



柿本、「君の春菜に対する思い、受け止めたよ。



あの場で少し飛び込むのがずれたら、君が犠牲になっていたはずだ。



命張って守った事、その行為は受け止めたよ」と、杉浦の肩を叩いて微笑み、



救急車の中に入って行った。



救急隊は救急車のハッチを閉め、三人を乗せて走り去ったのであった。





そして病院の廊下のベンチで、柿本と良子が黙って座っていた。



しばらく黙っていたが、良子が、「ねぇあんた、堅気である事は解ったけど、



どんな裏街道をさ迷っていたのよ?」。



柿本、「いや..、仲介役だったのさ。



跡継が継が無くなった、広大な田んぼや畑の持ち主を、説得してから、



大手の工場から独立し、下請け工場を経営したい、



業者との仲介業をしていたんだ」。



良子、「なぜそれが、その筋から追われる立場になったのよ?」。



柿本、「不動産関連は、裏の家業と繋がってる事が有る。



個人で大儲けしていれば、必ず裏の同業者が目を付ける。



素直にその業者を、土地取得に対し優遇して上げれば、



こちらも痛い目に遭わなくて済む。



大きな土地取得に一つ関わらせて、儲けを分け合う。



あの連中は脅かして、利益を得ようとするが、俺は何度も地主に足を運んでは、



畑を手伝いながら、地主を説得して行く。



こちらから地主を態と、説得しなくても畑を手伝ってる内に、



地主は途方に暮れて来る。



何故なら大根百個作る寄りも、自動車部品100個作る法が儲かるからだ。



地主の息子は、すでにそう考えて跡を継がない。



すると年寄りは、土地を高く売って、老後は楽に暮らしたいと考える。



その時、目の前に居る俺に相談するのさ」。



良子、「春菜が言っていたは、



『私が幼い頃、地上げ屋と言って、財産を築いた人達が、



土地を買いあさる行為が勃発して、遊んでいる土地や、



田んぼ畑は、マンション、アパート、パチンコ屋に変わって行った』とね」。



柿本、「そうか、結局俺の遣っていた行いは、激化の一途を辿るのか..」。



良子、「結局土地は、神話となったらしいのよ」。



柿本、「担保の神話か?」。



良子、「そう、銀行神話。担保価値としては絶対だった」。



柿本、「脆くもそれは、崩れ去って大恐慌が訪れるのか..」。



良子、「その真っ只中から、あの子はこの時代に、足を踏み入れたのよ」。



柿本、「行く先の切符も買わずに、時間列車に乗り込み、



降り立った先は、前世の親元だった」。



良子、「時間列車だと気づかずに、扉を開けてみたら、



この時代の片道行きだったのよ」。



柿本、「なるほど..」。



すると治療室から、春菜が包帯を巻いて出て来た。



畳んだシャツの袖を手にして。



良子は何も言わずに、畳んで持っていた春菜のロングコートを、


春菜に羽織、春菜の手を引いた。



良子、「さあ、この男から離れるわよ、春菜にとってはこの男との関係は、



永遠に災難続きになる。



だからもう、この男と永遠におさらばするの」と、連れ去ろうとしたとき。



春菜が、「待って、お母さんのトラウマ、ここで解消するから」。



良子は驚いた、自分の事を母と呼んでくれた事で。



春菜は柿本に、「お父さん、今お母さんは病院のこの独特な雰囲気と、



消毒液の臭いがトラウマなの解る?。



女性はいくら医師だとは言え、一番恥ずかしい所を見られて、



器具を入れられるのは、死ぬほど苦痛を味わうの、



増してや産みたい子を、下ろすのは地獄よ。



でもこうして、あのときの様にお母さんとお父さんは、



一緒に病院に来て、治療室から娘が出て来たのだから、



前世の私と、父母共に蟠りは解けたの。



私は前世の父と母が、一緒なる事を願うから、



その時は必ず、どんな立場や状況でも、授かった子供を産み、



育んで行く決心をしてね」。



その言葉で堪らなくなった良子は、その場で泣き崩れた。



柿本も堪らなくなり目頭が熱くなって、頬を涙が伝った。



柿本、「有難う春菜、恨まれ呪われると思った事を反省する。



俺の浅はかなプライドから、お前の母を苦しませて来た。



今度はプライドを捨てて、良子の思いを心から大事にする事を誓う」。



春菜は微笑んだ。



良子は立ち上がり、強く春菜を抱きしめたのであった。



春菜、「これでまた一つ、一生言われ続ける事が増えたけどね。



『授かった子供を、二度も殺した』って」。



柿本、「覚悟してるよ」。



春菜、「それと当分、お母さんの前に現れない法がいいかも!。



後からまた、恨みが連なって顔を見る度、張り倒されそうだから」。



良子、「顔が腫上るまで、打ってやる#!」。



柿本、「そうだな、春菜の忠告聞いた方が、身のためだな..」と、苦笑いだった。



すると廊下から、スーツ姿の男数人と、警官の服装をした男数人が歩いて来た。



明らかに刑事であった。



柿本の前で足を止めて、「まあ、解ってはいたんだよ」と、スーツの中のポケットから、



警察手帳を出して、「大変な結果になったが、大事には至らなかった様だ。



拳銃を撃った男も先ほど捕まえたよ、我々も見張ってはいたんだよ、



他県から手を伸ばして来た組織が、この頃市内で荒稼ぎをしていてな、



組織同士の抗争が続いていた矢先に、発砲事件を起こしてな..それでだ、



柿本さんの身辺調査も進んでいるよ。



一応事情聴取という事でご同行願うよ、あんたは巻き込まれた側だな..」。



柿本、「はい、分かりました」と、素直に応じた。



警察に連れて行かれる柿本に、春菜と良子は成す術が無かったのだった。




この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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