表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/59

第十三章、ゴーゴーダンス2

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html

そして土曜の夜、社員達はこの当時の流行の格好で、



皆ロングコートを羽織、街外れのゴーゴー喫茶へと遣って来た。



すると入り口で、黒い蝶ネクタイの店員に招かれ、



杉浦が招待券を店員に渡すと、喫茶店の奥に通された。



即座に別の店員、複数が遣って来て、「コートをお預かりいたします」と、



答えると、社員が脱いだコートを腕に欠けて一斉に、「ごゆっくり」と、頭を下げた。



店内は爆音立てて、お客は体を捻り曲げて、汗水垂らして踊っていた。



社員達は奥の、ソファーが長いテーブル席に通されると、



バーテンが飲み物を注文しに遣って来た。



飲み物を聞かれると、女性は海外の流行のジュースを注文し、



男性はビールを注文していた。



春菜が飲み物を聞かれると、少し考えて、「ねぇ、ここカクテル有る?」。



聞かれたバーテンは、「どんなカクテルがお好みですか?」。



白いワンピースで、春菜はソファーで、



足を組み直し、「そうね..、今日はマティーニの気分なの..」と、



答えると、バーテンは、「かしこまりました。



マスターに頼んでみます」と、言ってこの場を去っていった。



すると社員達は、一斉に春菜の方を見て唖然としていた。



会社では化粧気の無い春菜が、



今日はファンデーションをきっちり塗って、



マツゲを上に上げ、真っ赤な口紅を塗り、



綺麗な素足を、見せ付ける様に前方に出して、足を組んでいた。



春菜の前方で踊っていた、男性はその足に釘付けで、



それを見た春菜は微笑んで、また足を組み直すと、



踊っていた男性は、体の動きを止めた。



里美、「あんた、会社ではそんな素振りも見せないけど、



遊び慣れてるわね~」と、感心した。



圭子、「それもそうだけど、マティーニとか言うカクテル、どんな物なの?」。



聞かれる春菜は、組んでいる両足に、両肘を置いて頬杖を付く格好で、



上体を落とし、「甘酸っぱくて、それでいて幻想的な味がして、



今の私の気持ちに似合うの..」。



それを聞いた社員達は、「春菜さん、遊んでるね~」と、口を揃えたのであった。



しばらくすると、頼んだ飲み物が運ばれて来た。



が..。



社員達は一人だけ、おしゃれな飲み物を頼んだ、春菜に注目していた。



マティーニを口に付ける春菜は、まさにいい女に変身していた。



現代で言えば、イケテル女である。



一口飲むと、「う~ん、この味は今も昔も変わらないわ~」と、微笑んだ。



組んだ足を斜横にして、その姿はこの時代のホステス顔負けであった。



それを見て生唾を飲だ社員は、一斉にバーテンを呼び付け、



大野が、「ねぇ、あれと同じ物を飲みたいのだけど」と、春菜を指差した。



そう言うと社員全員、春菜が飲んでいるマティーニを、注文するのであった。



社員一同、酔いも回ってきた頃、軽快なリズムは踊りへと駆り立てられ、



一斉にライトアップされた場所に、駆け寄り踊り出すのであった。



やはりゴーゴーダンスで体をくねり、軽くヘッドバンキングする踊りは、



更にマティーニの酔いが回り、春菜も狂う様に踊っていた。



杉浦が春菜の所に行き、「楽しい?」と、聞くと。



春菜は、激しく体をくねらせながら、「激しい!」と、答えたのであった。



杉浦、「そう、それでいいよ」と、隣で激しくツイストを踊った。



すると急に場内のライトが暗くなる。



サウンドも、スローなテンポの曲に変わった。



そう、チークタイムである。



お相手が居る女性達は皆、男性の腕に抱かれていた。



春菜はいきなり、近くに居た杉浦の胸に飛び込んだ。


杉浦は驚いたが、スローな曲の雰囲気に飲まれ、優しく包み込む様に、



春菜の背中に腕を回した。



春菜は、杉浦の腕の中で、「幸せ..幸せよ、このまま何処かに浚って欲しいくらい」。



杉浦は、熱いその恋の一言に対し、「お母さんが見てるよ..」。



春菜、「お母さんは、お相手が居るは..」そう呟くと、



抱いてる春菜の横で良子は、柿本 賢と踊っていた。



良子も柿本に抱かれながら、柿本が、「来てたのか?」。



良子、「あんたこそ..、どうしてここに居るのよ..」。



柿本、「けりを付けに、関係者と会っていたんだ。



ここは取引先が経営している、店なんだよ!」。



良子、「今の仕事に、けりを付けるのね!」。



柿本、「あ~、一からやり直すつもりでな。



今まで築いた財産全部、売り払った」。



良子、「そう..」と、呟く良子に柿本は、「何故今、俺の話を素直に信じた?」。



良子、「あんたが私を、抱いてる腕から伝わるのよ。



営みの時に私を抱いてるあんたは、ただ男の欲求を満たしたいだけの抱き方と、



本当に私を愛して、抱いてる時の感覚が違うから..」。



柿本、「強姦しに行った俺を、許してくれるのか?」。



良子、「バカ自らあんたの胸に、私は顔を着けてるのに、今更聞く必要が有るの?」。



柿本、「確かめたかっただけだ、俺は用心深い男だから..」。



良子、「気が小さいだけでしょ#!」。



柿本、「もう一度言うよ、若かった時、俺がお前に言った事」。



良子、「もう二度も言わないで、大人は言葉で表現する前に、



態度で示すものよ..」。



そう呟くと、二人は見詰め合った。



そしてお互い目を瞑り、熱いキスをしていたのであった。



キスを終えた二人は、隣で熱い二人を見ると、



春菜と杉浦も、熱いキスの最中だった。



キスを終えた二人は見詰め合い、何気なく振り向くと、



柿本と良子が見ていた。



柿本、「お幸せに..」。



杉浦、「有難うお父さん..」。



良子、「幸せにして貰いなさい」。



春菜、「うん、そうするつもり」。



この四人は、両者幸せを手に入れ、両者同士の蟠りも解き放って行った。



するとドカドカと音を立てて、スーツ姿の中年男性が遣って来て、



急に拳銃を構えた。



女性の悲鳴が、場内を包んだ。



すると踊り場に居た客は、散らばった。



スーツの姿の男性は、両手で拳銃を持って震えながら、「柿本、お前は出来過ぎた!」。



柿本はこの踊り場で、一人にされ佇んでいた。



柿本、「何が出来過ぎたんだ?」。



スーツの姿の男性、「お前は優秀だった。



俺達の組を伸し上げ、財も築いた。



堅気にして置くのは惜しかった。



しかしなぁ~、手を広げ過ぎた俺達に、



やっかんだ他のデカイ組織が、俺達を潰しに来た。



その組織は、条件を付けて来た」。



柿本、「条件とはなんだ?」。



スーツの姿の男性、「お前達の組織を潰さない代わりに、



お前達を伸し上げた、柿本をヤレとなぁ~」。



その瞬間、スーツの姿の男性は引金を引いた。



春菜は反射的に、「危ない!」と、言って柿本を押し倒した。



それと同時に杉浦が、春菜に覆い被さる様に飛んだ。



春菜と杉浦の間を、拳銃の弾がすり抜けたが、運悪く春菜の右腕を弾はかすめた。



場内は修羅場と化し、一斉に客は逃げていった。



スーツの姿の男性は、一発撃って逃げていった。



三人覆い被さる様に、倒れていた杉浦から立ち上がり、春菜の腕を見た。



春菜も上体を起こすと、春菜の下に居た柿本も上体を起こした。



咄嗟に駆け寄る良子は、春菜に駆け寄りしゃがんで、



春菜の両肩を両手で持って、「あんた怪我は!」。



杉浦と柿本も、踊り場で座りながら春菜を見た。



春菜も座っていたが、右腕の半袖のワンピースの裾から、血が滲み出て来た。



すると杉浦は、着ていたセーターを脱ぎ、中に着ていたシャツの袖を引き裂き、



春菜が着ていた、半袖のワンピースの裾を捲り、「かすり傷だ!、傷は浅いよ」と、



包帯代わりに巻き付けた。



それを見た柿本は、「君なら春菜のお相手には持って来いだ!。



君が春菜を庇った所、見届けたよ」と、感心していた。



感心してなかったのは、良子だった。



良子はしゃがみながら、いきなり柿本を張り倒した。



何度も何度も往復びんたを繰り返し、それを見ていた杉浦が、



座りながら良子の体を持って、柿本から引き離した。



座り込む良子は豪泣きで、「あんた#!、生まれ変わったこの子を、



また殺すつもり#、この人でなし#!」と、叫んだ。



やるせない柿本だった。



杉浦は春菜を抱き上げ、抱き上げながら春菜にキスをし微笑んだ。



春菜も微笑んで杉浦が、「ちょっと待っていてね、救急車呼ぶから」と、



春菜を、先ほど座っていたソファーに置いて、



入り口付近に設置されていた、公衆電話の所に歩いて行った。



柿本は踊り場で、三角座りをしながら俯き、良子は踊り場で座りながら、



両手で顔を覆い、しくしく泣いていたのだった。




この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ