第十一章、レクリエーション2
卸本町の蜃気楼オリジナル文章
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そして日曜日、未来ではもう様変わりした場所に、
市内で唯一の、大きなボーリング場が在った。
春菜はそれを見て、「わぁ~、ここ昔はボウリング場だったの!」。
ボウリング場の入り口前で、大きな声で言い放ったので、当然社員達は、
声を合わせて、「どうなってるの?」と、尋ねると、
春菜は、「ホテルだけど..、え~と..、18階建ての..」。
社員達は、やはり声を合わせて、「18階..」と、驚いた。
小幡、「18階もの建物が、将来ここにそびえ立つのか!」と、驚いた。
この当時、首都圏でも無いのに、市内でもせいぜい10階立ての建物があれば、
驚いたものだが、18階となると、想像が付かなかった。
小野、「それで、その18階どこに、このボウリング場が入るの?」。
春菜、「ボウリング場なんて在りません、普通のホテルです」。
小野、「え~、無くなるの」と、気を落とした。
春菜、「この先たぶん..、3年後位には、ボウリングブームは去るんです。
でも、また少し持ち直して、郊外に2、3軒新しく出来ます。
街に存在していたボーリング場は、駅の東に一軒だけは、存在していましたね..」。
小野、「そうか、全滅する訳ではないなら、いいけどね..」と、浮かぬ顔を見せた。
里美、「ねぇ、あんたの時代は、18階のホテルは、普通の建物なのね!」。
春菜、「はい、街には確か45階だったかな?、建物が有ります」。
皆さん同時に、「45階!」と、度肝を抜かれた。
圭子、「最上階は、風が吹くとグラグラ揺れそうね」と、笑った。
春菜、「低い方です。東京は池袋に60階建てのビルは有るし、
新宿の都庁のビルは、更に高いビルで、後ランドマークタワーや、
極めつけは、六本木に在るビルは、それ以上高いと思います」。
杉浦、「東京タワーが、他のビルに隠れて、見えなくなってない?」。
春菜、「はい、確かに近くに行かないと、見えませんね!」。
皆さん溜息を付いた。
実は昭和44年は、東京タワー以上に高いビルは、存在してなかった為、
余程遠くからでも、見えたからだった。
春菜、「でも、私が居た時代では、東京タワーの倍くらいの、
大きなタワーを、台東区に建設しています。
それは確か600メートル以上だったと思います」。
皆さん呆れて、良子が、「地震でも来て倒れでもしたら、大被害よ!」。
春菜、「それが、雨にも負けず、風にも負けず、地震にも強いビルを、
日本人が設計して、アメリカで建てたのです。
そうしたらアメリカで、同時多発テロが起きて、旅客機がビルに突っ込んで、
大勢の人が亡くなりました。
皮肉なものです。」
皆さん呆然としていた。
小野、「そ..その~、テロって誰が起こしたの?」。
春菜、「中近東の方の、一部の人です」。
皆さん、「へ~」と、頷いていた。
洋子、「しかし600メートって、想像付かないけど、
本当完成出来るの?、そんなバカ高いタワー」。
春菜、「600メートなんて低い方です。
中国はもっと高いビル、建てましたから。
更に原油が出る中近東の方では、
1000メートルのビルを建設しています」。
皆さん、この時代のビルと比較すると、単位が大き過ぎて、
想像が付かないので、途方に暮れてしまった。
なのでさっさと、ボウリング場に入場したのだった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




