第十章、消滅3
卸本町の蜃気楼オリジナル文章
http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.htm
その次の 日曜日の事であったが、
洋子、圭子、良子と春菜は、未来では既に倒産したデパートに足を運んだ。
11月後半のデパートは、大賑わいで、お歳暮を買う人々から、
ボーナスで、電気製品やら衣料品を、買い求める人で店は忙しい。
かつてデパートとは、高度成長を迎えた、日本文化のバロメーターで有り、
現在消費が低迷して行くと同時に、低迷傾向に有る。
庶民の憧れの的、それは高級感であった。
明らかに、我が家の様相とはかけ離れた、この当時の気品漂う、
今で言うセレブな感覚を、味わう場でもあり、目で見る物だけでは無く、
この様相を演出していたのは、この場の香りである。
わざと香りを出しているのではなく、実はお客がデパートに行くには、
正装をして行く傾向に有った為に、タンスやドレッサーの防虫剤の香りと、
女性の化粧の香料が混じって、薫り高きデパートの味わいを出していた。
そう、商売とは経営者が作る物では無く、お客がその店の格式を、作り出す物である。
そんなデパートだった頃、この四人はエスカレーターに乗って、
それぞれの階を回り、品定めをしていた。
春菜の時代には消えてしまった、レトロで気品ある様相に心躍らせた。
皆なぜ、笑顔を絶やさないで、買い物が出来るかと、
不思議に思えた春菜だった。
そして、最上階の本屋を抜けて、階段で屋上まで上がって行った四人は、
屋上に繋がる、大きな扉を開けた。
すると春菜は、その光景に驚いて言葉を無くした。
大勢の人々が、アナログでレトロなゲームで遊んでいた。
ピンボールから、子供が遊ぶ電気自動車、金魚すくいから小さな釣堀。
見る物全てが、新鮮に思えた春菜。
そっと、その世界に足を踏み入れる様に、ゆっくりと歩き出す春菜、
良子はその、春菜の様子を見て呟いた、「無いのね..。
春菜の時代にはもう、この光景は広がっていないのね..」。
洋子は、春菜を見詰めて、「無くなるんだ、もうあんたの時代には、ここは無いのね」。
圭子、「その表情から言って、40年後の未来は、跡形もないのねここは..」。
春菜、「まるで、蜃気楼を見ている様。
ここに居る人々は皆、海に浮かぶ蜃気楼の様に、笑顔が絶えない。
幻覚よねこれも、薬のせいで幻を見ているの私は..」。
良子、「現実よ、春菜から言わせれば40年前の、日本なのよ..」。
春菜は、ゆっくりと良子に振り向いて、「なぜ、人々の笑顔は街から消えたの?。
私の居た時代は、街行く人々は疎らで、俯いて歩く人が大半なの。
夜になっても、素通りする人は、希望を失い掛けている表情ばかり。
なぜ、こんなにも皆笑顔で居られるの?」。
圭子、「時代の流れとは、かつての次代背景とは、大幅に異なるものなの。
今から20年も前、ここは見るも無残な焼け野原。
戦争に負け、日本の悲惨な姿を晒け出していた。
焼け野原で、食料に飢えていた日本が、
20年後は、日本は経済成長すると、オリンピックが開催される程、
世界に誇れる、国に成長をした。
それが日常在り来たりになると、飢えていた頃から比べれば、
優雅な生活なのに、優雅ではなく平凡な生活感だと思う様になる」。
良子、「今この時代に生まれて来た人達が、
この時代に喜びを感じているのは、飢えを凌ぐ生活から、
豊かな時代を迎えたから。
何も無い時代から、便利で贅沢な物を手にする事で、
満足感が得られるけど、春菜の時代にはもうこの時代の、
画期的な物は、すでに在り来たり」。
洋子、「私達には、ダイエットなんて言葉は、
何気ない外国映画の1シーンで、何となく聞き覚えが有るだけで、
日本では、一部の金持ちでしか、実行する事は無いだろうけど、
春菜の時代では食生活も、今の億万長者と同じ食生活をして、
食べない太らない様、気を付けないと、デブになってしまう。
そんな時代が、少なくとも20年後の未来には、起きているのね..」。
春菜、「経済大国日本と言われて育った。
アメリカなんて、私達日本人から言わせれば、
いい加減でアメリカの自動車は、ただ大きいだけで、燃費も悪くて、
一部のマニアックな人だけが、乗っていた車なの。
この時代に来て、人々はアメリカ製品は、『優れている』と、豪語する。
私が自分の居た時代に、今でも居たら中国の人から、『日本の製品は高いばかりで、
使い物にならない#』と、言われてしまうのかな..」。
それを聞いた、昭和44年組は気を落とした。
圭子、「そうなのね、結局『追いつけ!追い越せ!』精神は、
追いつかれて追い越されて、いつか駄目になる日本を迎えるのね..」。
良子、「戦争それは、何を日本にもたらしたか、
途方も無い死者と未亡人、そして国の力の減退。
すると人々は、アメリカの豊かさを目の当たりにすると、
いつか日本も、アメリカの様な、豊かな国に成る事を夢見て、
国の再生を人々は、血の滲む思いでこなして来た結果、
急激な経済成長を成し遂げた。
でも、豊かに成り過ぎた結果、望む物を心に抱けなくなると、
若者は堕落して行く。
希望と憧れは、大きな対象物を追いかけ様とする事。
自分には到底今は、追い付けなくても、追い付こうとする積み重ねが、
若者の生きる術に成り、働く意欲が生まれた」。
圭子、「気が付かないよね、到底この時代に生きて来た人達は..」。
洋子、「人間て単純な生き物の様で、その単純な中に、
難しい概念が存在しているのね..」。
春菜は、近くのベンチに座ると、昭和44年組みもベンチに座った。
春菜は楽しそうにはしゃぐ、子供達を見て微笑んだ。
春菜、「この子達も将来大人になる頃、笑顔が消えるのかな?。
リストラなんて卑怯だよね。
良く働く人達も、そうでない人も、まとめて辞めさせられるなんて..」。
圭子、「あんた、それは自分の時代だけだと思ったら、大間違いよ。
戦争で戦って戦死した兵隊達は、愛する我が妻と子供、そして両親を残して、
勝つ事を心に秘めて、戦死して行ったのよ。
決して戦死した兵士は、劣勢では無かった。
むしろ優勢だった人々が、戦死して行った。特攻隊はその最たる者よ」。
良子、「春菜、時代は何時も無常なの」。
洋子、「そうか..、今後戦争は起き無くても、経済が悪化して、
食えなくなって、自殺して人々は死ぬのか..」。
それが日常在り来たりになると、飢えていた頃から比べれば、
優雅な生活なのに、優雅ではなく平凡な生活感だと思う様になる」。
良子、「今この時代に生まれて来た人達が、
この時代に喜びを感じているのは、飢えを凌ぐ生活から、
豊かな時代を迎えたから。
何も無い時代から、便利で贅沢な物を手にする事で、
満足感が得られるけど、春菜の時代にはもうこの時代の、
画期的な物は、すでに在り来たり」。
洋子、「私達には、ダイエットなんて言葉は、
何気ない外国映画の1シーンで、何となく聞き覚えが有るだけで、
日本では、一部の金持ちでしか、実行する事は無いだろうけど、
春菜の時代では食生活も、今の億万長者と同じ食生活をして、
食べない太らない様、気を付けないと、デブになってしまう。
そんな時代が、少なくとも20年後の未来には、起きているのね..」。
春菜、「経済大国日本と言われて育った。
アメリカなんて、私達日本人から言わせれば、
いい加減でアメリカの自動車は、ただ大きいだけで、燃費も悪くて、
一部のマニアックな人だけが、乗っていた車なの。
この時代に来て、人々はアメリカ製品は、『優れている』と、豪語する。
私が自分の居た時代に、今でも居たら中国の人から、『日本の製品は高いばかりで、
使い物にならない#』と、言われてしまうのかな..」。
それを聞いた、昭和44年組は気を落とした。
圭子、「そうなのね、結局『追いつけ!追い越せ!』精神は、
追いつかれて追い越されて、いつか駄目になる日本を迎えるのね..」。
良子、「戦争それは、何を日本にもたらしたか、
途方も無い死者と未亡人、そして国の力の減退。
すると人々は、アメリカの豊かさを目の当たりにすると、
いつか日本も、アメリカの様な、豊かな国に成る事を夢見て、
国の再生を人々は、血の滲む思いでこなして来た結果、
急激な経済成長を成し遂げた。
でも、豊かに成り過ぎた結果、望む物を心に抱けなくなると、
若者は堕落して行く。
希望と憧れは、大きな対象物を追いかけ様とする事。
自分には到底今は、追い付けなくても、追い付こうとする積み重ねが、
若者の生きる術に成り、働く意欲が生まれた」。
圭子、「気が付かないよね、到底この時代に生きて来た人達は..」。
洋子、「人間て単純な生き物の様で、その単純な中に、
難しい概念が存在しているのね..」。
春菜は、近くのベンチに座ると、昭和44年組みもベンチに座った。
春菜は楽しそうにはしゃぐ、子供達を見て微笑んだ。
春菜、「この子達も将来大人になる頃、笑顔が消えるのかな?。
リストラなんて卑怯だよね。
良く働く人達も、そうでない人も、まとめて辞めさせられるなんて..」。
圭子、「あんた、それは自分の時代だけだと思ったら、大間違いよ。
戦争で戦って戦死した兵隊達は、愛する我が妻と子供、そして両親を残して、
勝つ事を心に秘めて、戦死して行ったのよ。
決して戦死した兵士は、劣勢では無かった。
むしろ優勢だった人々が、戦死して行った。特攻隊はその最たる者よ」。
良子、「春菜、時代は何時も無常なの」。
洋子、「そうか..、今後戦争は起き無くても、経済が悪化して、
食えなくなって、自殺して人々は死ぬのか..」。
圭子、「皮肉よね..」。
良子、「年間3万人よ..」。
皆、思いに更けて行った。
すると春菜が、「私この時代に来て、学んだ事が有るの。
それはね、私の居た時代に成らない様にする為には、
お互いに他人には、優しく接する事だと思ったの。
この時代の人々は、得体の知れない、宇宙人の様な私みたいな人間でも、
優しく接してくれた事。
私の時代には、下心が無いと他人が、
優しく接してくれる事なんて、有得なくなってるの。
『他人を見たら泥棒だと思え!』と、言われるくらい、
詐欺が多くて、赤の他人が急に優しく接して来る時は、用心しなければ、
大抵利益目的なの。
人を蹴落としてでも、伸し上って来た人々が、また蹴落とされて、
蹴落す力が有る同士が、蹴り合って、蹴落とされた方は引き下がり、
蹴落とした方は傷だらけで、結局命を落として来た。
それが大手の会社なの..。
国が規制緩和なんて、嫌でも喧嘩させるから、喧嘩を売った方も、
売られて方も仕方なく喧嘩したら、ボロボロになって。
結局それを行わせた、親で有る国が莫大な治療費を、出さなければならなくなり、
挙句の果ては、親である国が大きな損害を出して、それを喧嘩を行った子分に、
宛がうしか方法が無かったの」。
44年組は呆れ果て、三人同時に深い溜息を付いた。
圭子、「未来の政治家は、後先の事はまったく考えて無いのね..」。
春菜、「今、置かれている立場の中で、
一時凌ぎをする事だけ、考えているのでは?と、思っていました」。
44年組みは同時に、「確かに..」。
良子、「あの威厳の有る、総理大臣はとっくに亡くなったのね!」。
春菜、「子分は生きています」。
44年組は同時に、「子分..」。
春菜、「50年位続いた、自民党政権は民主党に変わり、
自民党は野党に変わりましたが、民主党政権でも経済は、悪化の意図を辿っています」。
お先真っ暗になる、昭和44年組だった。
圭子、「1969年から40年後ね、65歳よ私達老いて年金生活よ!」。
春菜、「.....」。
何も言えなかった。
その表情を見た44年組は、察しが付いた。
洋子、「私達の年金、国の赤字に宛がったとは、言わせないからね#!」。
春菜、「.....」。
更に黙り込んだ春菜、深く俯いた。
圭子、「聞くんじゃない#!洋子..」。
真冬真近のこの屋上は、気温だけではなく、心も冷え込む四人であった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




