第十章、消滅2
卸本町の蜃気楼オリジナル文章
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二人は赤提灯を出て、寮に帰ると、寮の玄関の軒先で、柿本が佇んでいた。
春菜は柿本も見て、「パパは今日も、娘とママに会いに来てのかな?」と、
柿本の顔を覗き込んだ。
柿本は、白い四角い箱を手にして、「春菜..」と言って、春菜を抱きしめた。
良子は、その光景を見て、「やっと解ったでしょ。尊い命を捨てた虚しさが..」。
柿本、「俺を許さなくても構わない。
でも、愛しいんだ。説明は付かない、この感情はなんだ?。
この子を抱いたこの愛しさは、説明が付かない感情が、込み上げて来る」。
良子、「それが、親の子供に対する感情なのよ」。
柿本は、春菜を放し、持っていた箱を春菜に渡した。
受け取る春菜は、「またプレゼントなの?」。
柿本、「娘にプレゼントなんて、した事無いから、何を買ったら喜ぶか解らなくて、
でも、春菜が似合う物を上げたいと思ったんだ。
ネックレス寄り、衣装かなと..」。
春菜が箱の中身を開けると、中に白いワンピースが入っていた。
春菜は、スカートのポケットから、ネックレスが入った白い箱を、
良子に渡して、「これは、お母さんに上げるね。
今までパパは、お母さんと付き合っていた頃、
ろくにプレゼントも、上げなかったみたいだし」。
手渡された良子は、「あら、娘は優しいわね。
今のパパはママの事なんか、眼中にないみたいだけど」。
柿本、「今、お前に何か上げても、昔の俺の文句しか言わないだろ!」。
春菜、「解っていらっしゃる」。
柿本、「どうせさっきまで俺の悪口、言っていたんだろ!」。
良子、「あんた、どこで見てたのよ?」。
柿本、「春菜に金のネックレス上げたら、お前が黙ってる訳ないだろ!。
貧乏で、お前にろくにプレゼントなんて、した事無いから..」。
良子、「そうよ#!、柄にも無い癖に、気取って娘に18金のネックレスなんて上げて、
この成金男が#」。
春菜、「未来では、成り上がりと言いますが..」。
良子、「同じ意味でしょ#!」。
柿本、「そう言われそうだから、お前に何か上げるの拒むんだ!」。
売り言葉に買い言葉になる、二人だった。
良子、「誰が春菜に、勝手に近づいていいって言ったのよ#、このろくでなし#!」。
春菜、「もう止めて!。せっかく昨日の日曜日、
久しぶりに二人で、楽しい時間を過ごしたのでしょ!、
ここで昨日、育んだ時間を台無しにしたら、昨日の 一歩は無駄になるでしょ!」。
良子、「あんた、杉浦君と何してたのよ?。
まさか、モーテルなんて行ってないでしょうね#?。
母親はまだ杉浦君との 一線を、越える行為は許してなからね#!」。
柿本、「いいじゃないか、昨日俺に『年頃の子だから、
男とデートしてたって、おかしくない』って、言ったのお前だろ!」。
良子、「デートは許したわよ!、みさおを許しても良いとは、言ってないわよ#!」。
<作者:みさお..とは、処女を表します。>
柿本、「お前も固い事言うな~」と、呆れた。
良子、「あんたに言われる筋合いは無いわよ#。
お金が無いから、下ろさせて置いて#!」。
柿本、「春菜その杉浦君は、真面目な人なんだろ?」。
春菜、「うん、真面目な人で良く働く、夢が豊富な素敵な人です」。
良子、「プレイボーイなのよ、杉浦君は..。
そんな簡単に、信用するんじゃないの#!」。
柿本、「子供が出来たら、俺が面倒見てやるから、心配するな!」。
良子、「ふざけるんじゃないわよ#!、自分は春菜を下ろさせて置いて、
よくそんな口がきけたものね~#!」。
春菜は、急に怒り出し、「お母さん#!、自分がストーカーされていて、
私が阻止しなかったら、目の前の男性を、たんすの中に入っていたナイフで、
刺してた可能性有ったんじゃないの#!」。
良子は、急に態度が小さくなり、「それは、言わないでよ..」と、呟いた。
春菜、「自慢じゃないけど、十代の頃から、美少女だと言われ、
童顔で秋葉原系のオタク達から、ファンクラブを設立された私が、
そんなに易々と、男の口車には乗らないわよ。
男が 一時の欲望を満たしたくて、私を口説いているか、
本当に私の事を好きかどうかは、経験で見分けが付くわよ!」と、
腰に手を当てて、言い放った。
それを聞いた、柿本と良子は、「御見逸れいたしました!」と、頭を下げたのであった。
<作者:完璧に自慢ですが。>
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




