表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/59

第九章、休日3

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html

良子は、一人で街を歩いていた。



様に思えたが、一人では無かった..。



良子は歩きながら、後ろを振り向き、「ちょっと、着け回すの止めてくれない#」。



柿本、「別に、行く方向が同じだけさ!」。



良子は、呆れながら、「もう!このストーカー#」。



柿本、「ストーカーって何だよ?」。



良子、「そうやって、着け回す人を未来では、ストーカーって言うのよ#」。



柿本、「狭い街中、偶然って事もあるだろ!」。



良子、「あんた、昔からそうだけど、言い訳が乏しいのよ」。



柿本、「どこ行くんだよ?」。



良子、「まったく、甘えた子供みたいに、私の勝手でしょ#」。



しばらく歩いていると、やはり柿本も、距離を置いて歩いて来た。



物陰に隠れた良子は、柿本を伺った。



柿本は路上でキョロキョロと、探していた。



丁度物陰に隠れた、良子の前を通りすがると良子が、「あんた、今度は本当に、



春菜に呪われるわよ、背中に張り付いて、『恨んでやる!』って!」。



柿本は驚いて、立ち止まって良子に振り向いて、「別にいいよ、



恨もうが呪おうが、構わないぜ!」。



良子は、柿本の目を見詰めて、「あんた、あの子が可愛いのね!」。



柿本、「だってよ~、俺の娘と確信出来たんだ、他人じゃない思いが..、



あの子に打たれた事で、何だか俺の愛情だと思い始めて、可愛くなって来てだな..」。



人差し指で、こめかみをかいていた。



良子、「へ~、今更自分が親の様に思えて来たの。



ふざけないでよ、この人でなし#」。



そう言って、そそくさ柿本を残して、歩き出した。



柿本はまた、後を追い、「今日春菜ちゃんは、どうしたんだよ?」と、尋ねると、



良子は、歩きながら振り向きもせず、「デートよ#」。



柿本、「お..俺達の事、本当に春菜ちゃんは恨んでるのか?」。



良子、「恨んでたなら、どうなのよ?」。



柿本、「別に、なんのお詫びも出来ないけど、深く謝りたい..」。



良子は、後ろを振り向いて、「安心しなさいよ!。



あの子の未来の両親は、普通の市の職員だけど、



一人っ子で、大きな庭に小さな遊具置いて、



何不自由無く、育てられたらしいわよ」。



柿本、「大学卒業するまでは、順風満帆か..」。



そして二人は、そのまま、歩き続けていた。



すると自然に、寄り添う様に二人は歩き、郊外に出た。



良子、「今日、車はどうしたの?」。



柿本は、両手をズボンのポケット突っ込み、「マンションの駐車場に置いて来た」。



良子は、強風に煽られ、コートの裾を立てて持った。



良子、「何故私を追うの?。今なら他に、あんたを慕ってくれる、女が居るはずでしょ!」。



柿本、「......」。



良子、「もう解ったわよ、あんたが立派になった姿は、



褒めて上げるから、付き纏わないでよぉ~」。


嫌気が差す良子に、柿本は、「お前が今の俺を認めるなんて、思って無かったよ。



逆にもっと嫌うと思った。俺の今の姿を見て、殺されるとも思ったよ..」。



良子、「十分嫌ってるけど、解らないの?」。



柿本、「でも春菜ちゃんは、『消えるな!』と、言っていたから..」。



良子、「......」。



柿本、「なんだかんだ言っても、娘なんだよあの子は。



生まれ変わっても、宿した親を慕ってる。



そうで無ければ、俺にあんなに怒りはしないさ!」。



良子、「あの子は、あんたに近づけさせたくないの」。



柿本、何気なく良子の横顔を見詰めて、顔を戻した。



良子、「私もあの子が可愛いの、今度またあの子に不幸が訪れたら、



そう..、私の責任であの子を不幸にさせたら、40年後の未来の母親に、



なんて謝ればいいの?」。



柿本、「どうして、そんな信じられない、神懸りが起きたんだ!」。



良子、「神よ、私達にきっちり責任と、生まれ変わったあの子に、



どう対応するかで、私たちの今後の運命が決まるのかも」。



柿本は後ろに両手を回し指を組んで、頭に着けて。



柿本、「そうかもな、俺達がここで出会ったのも、そう言う事なのかもな..」。



どれだけ歩いただろうか、風景は住宅地に変わり、日も沈み掛けていた。



するとスケート場の前を通りすがる二人。



柿本が不意に良子に、「なぁ、お前と初めて出会った時、スケート場だったな..」。



良子、「分かった入るわよ、私あんたから逃れる為に訳も無く、



歩いてたけど、あんた疲れて今日は、諦めるかと思ったけど根負けしたわ。



歩き疲れたから、ここで休んで行くわよ」。



柿本、「あ..あ~」。



するとチケット売り場で、柿本が大人二枚の入場券を買って、場内に入った。



スケートリンクには行かず、中の喫茶店で落ち着く二人は、ウェートレスに、



ホットコーヒーを注文した。



二人はここで、昔を思い出していた。



必ずスケートに疲れると、こうして喫茶店でコーヒーを飲んでいた。



柿本、「なぁ..、お前綺麗になったな、昔のヤンチャだった、あの姿とは大違いだ!」。



良子は、コーヒーを飲みながら、「そう..」。



言われた事を気にも止めずに、軽くあしらう様に答えた。



柿本は、本当にそう思ったのだが。



柿本、「クールにもなったな..」。



良子はその時、外を見詰め何も答えなかった。



柿本、「春菜ちゃん、ボーイフレンド出来たのか..」。



良子は、言葉少なげに、「年頃よ..」。



柿本は、コーヒーを一口飲んで、「お前が消えてから、路頭に迷ったよ。



今、ここで言い訳しても、真実味は無いだろうが、毎日狂う様に酒浸りだった」。



良子、「そう思った。あんた私に甘えてたから、居なくなったら、



喧嘩して務所に入るか、殺されてるかと思った」。



柿本、「俺は馬鹿だから、後悔してから自分の愚かさを知るんだ」。



良子、「取り返しの付かない事をする馬鹿とは、もう金輪際付き合いたくないの..」。



柿本、「良子..」。



しばらく二人に、沈黙の時が流れた。



柿本、「これが最後の頼みだ。やり直したいお前と、出来る事なら、



何度でも土下座するつもりだ、頼む..」。



そう言って頭を下げた。



良子は何も言わず、そっと席を立った。



柿本は、そっと頭を上げて、やるせない面持ちでいた。



良子はレジに立つと、座っている柿本に向かって、「賢、あんた滑らないの?。



せっかくここに来たんだから、滑らずに帰るつもりなの?」。



柿本は驚いて、サッと席を立ち、良子のもとへと歩いていった。



良子は店員に、二人分のコーヒーの代金を払い、



そそくさ場内の、スケートシューズの貸し出し場まで、足を運んだ。



そして二人は、リンクサイドのベンチに座り、スケートシューズを履いていた。



柿本、「俺の事、久しぶりに、賢と呼んでくれたな、嬉しかった..」。



良子、「甘えるんじゃない!。春菜があんたに告げた事、きっちり守るまでは、



私はあんたに、身も心も許さないから。



それでさっき私を落とそうと、回りくどくゴチャゴチャ言っていたけど、最初から本心を言えば、



時間掛けなくても済んだのよ、馬鹿..」。



柿本、「......」。




この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ