第六章、再会
卸本町の蜃気楼オリジナル文章
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午後も3時を過ぎた頃、現在は歴史上の建造物と化してしまった、
デパートの地下食品売り場で、洋子と圭子が、待ち合わせる様になっていた。
春菜は久しぶりに、このフロアーを見て、「賑やかい、ここのフロアーだけは、
残して欲しかったな~」と、呟やいた。
一緒に居た良子は、知り合いの売店の女性と、おしゃべりをしていた。
すると、黒いロングコートを着た二人が、春菜の横に立った。
春菜は振り向くと、洋子と圭子だった。
四人は地下を出て、有楽街を歩いていた。
すると春菜が突然、「ここ映画館だったんだ!」。
立ち止まる、御一行三人は同時に、「未来は、なんなのよ?」。
春菜は、顎に人差し指を置いて、「え~と、パパロビル」。
洋子は、「何階建てのビル?」と、答えると、
春菜はまた、考えて、「え~と、7階だったかな?、8階だったかな?」。
圭子、「あんた、こんな中心街の、自分の居た時代のビルの階数、覚えてないの?」。
三人は笑った。
春菜、「昔はとても賑やかだったけど、私が成人になる頃は、
差ほど賑って無くて..、居酒屋とか、マッサージだとか、
入ってる店がころころ変わるの。朝はあまり上の階は、
営業していなくて、私もあまり立ち寄った事がなくて..」。
三人は同時に、「は~..、複雑ね~」と、答えて肩を落とした。
有楽街から外れて、路地に入ると個人商店街が、軒を連ねていた。
すると、女子中学生らしき四人が、制服姿で前から歩いて来た。
春菜は、はっ!として咄嗟に物陰に隠れた。
それを見た、洋子、圭子、良子は同時に、「どうしたの?」と、答えると。
制服姿の、女子中学生は通り過ぎて行った。
圭子が徐に、「ねえ!、真ん中の女の子、
春菜に似て無かった?」と、そう言って、首を傾げた。
洋子は、「あ~!、あの子、お母さんでしょ春菜ぁ~!」と、春菜の肩を叩いた。
良子は、大笑いで、「そ..そっくりだったわよ!、アハハハハハ」と、
手を叩いて喜んでいた。
すると歩きながら、その中学生四人が振り向いて、「ねえ..、
由美子あんたに、あの人似ていない?」。
由美子、「そうかなぁ~?」と、首を傾げて、歩いて行ってしまった。
春菜、「.....」。
洋子、圭子、良子は腹を抱えて、笑っていたのだった。
そして四人は街から離れて、良子と春菜が住んでいる寮へと、足を運ぶのであった。
向かう道中、四人は先ほどの出来事の話をしていた。
圭子、「でも、まさか出くわすとは、思わなかったでしょ?」。
春菜、「恥ずかしい..」と、俯いた。
洋子、「あんた、中学生の頃から、変わらないのね~。
母親が中学生で、あんたは社会人で25歳?。うり二つだったわよ」。
良子、「あんた、ファンデーションも塗ってないのに、中学の頃から、
肌の艶が変わらないのは、羨ましいわね~」。
物議を交わしだす、この三人に春菜は、
堪りかねて、「もう、私と母親を比べるのやめて#」。
両手の拳を握り、激怒したのであった。
圭子、「美人の評価をしているのだから、いいじゃない!」。
洋子、「そうよ!、悪いこと言ってないわよ!」。
良子、「優しそうな、お母さんじゃない!」。
その時、春菜は膨れて、「もぉ~#」と、機嫌を損ねたのであった。
そんな会話をしていると、前から角刈りで、スーツ姿の男性が歩いて来た。
すれ違ざまに、その男性の顔付が変わった。
すると、良子も視線を逸らしながら、俯き加減になった。
通り過ぎた後、二人は立ち止まり、後ろを振り向いた。
そして二人は、お互い顔を戻し、歩き出したのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




