表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/59

第四章  新しいライフスタイル 4

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html

会社が終わると、良子、洋子、圭子に連れられ、



街の蕎麦屋で、夕飯を食べる事になった。



街は明るかった。



今では、殆どお目に掛からなくなった、ネオンサインが眩しくて、



歩道には、リアカーを引いた、老人が歩いていた。



街は普段でも賑い。



大型店舗と言えば、デパートくらいなもので、春菜から言わせれば、



レトロな街に心が躍った。



街の小売は、小さい店舗ながらも、何処も大勢の人で、賑わっていた。



11月半ばの乾いた風が、通り抜けるこの街を、人々が暖かくしている様だった。



大通りから外れ、脇道に入ると飲み屋街で、薄手のカーデガンを羽織、



厚化粧でタバコを吸い、クルクルパーマの20代後半くらいの女性が、



店の前に立っていた。



その前を春菜は、不思議そうな眼差しで通り過ぎると、女性は睨んで ”フン”と、



外方そっぽを向いたのであった。



その姿を見た春菜は、小声で、「昔の映画のエキストラみたい..」と、呟いた。



すると前から、恐持てのスーツを着た、短髪の男の集団が歩いて来た。



対向して歩いている人達は、自ら集団を避けていた。



春菜達も、その集団から自ら避けて、通り過ぎるのを待って、



再び歩き出した。



春菜は、また小声で、「悪役俳優の1シーンの撮影?」と、呟きカメラが無いかと



辺りをキョロキョロ、見回した。



春菜から言わせれば、この街は大きな撮影スタジオであった。



細い路地を曲がると、木造二階建ての店舗に、蕎麦の暖簾が掛かっていた。



暖簾を退けて、木製のすりガラスをガラガラと開けると、



中は広くて、床は黒く汚れたコンクリートだった。



店内の奥にはストーブが焚かれ、神棚には招き猫が飾られ、



金属製の脚のテーブルに、金属製の脚の椅子。



向かって左側のスペースは、床を高くしてそこに、畳が敷き詰められていて、



縦長の木製の座卓に近い、品祖な長いテーブルが置いてあった。



すると小さな声で、「いらっしゃいまし~」と、言われた後で、



腰が少し曲がった、お婆さんがこちらに歩いて来て、「空いてる席にどうぞ..」と、言われ、



四人は目の前の、金属製の脚の椅子を引くと、ギギギ~と、音を立てた。



そこに座り、落ち着く四人だった。



春菜は嬉しそうに、辺りをキョロキョロ、見回していた。



それ見ていた洋子が 、「そんなに、この薄汚い店が珍しいか?宇宙人!」。



そう答えると、良子が、「ちょっと、もうからかうの、やめなさいよ#!」と、咎めた。



圭子、「別に、自らこの店、けなしてる訳ではないのだから、



未来をやっかむの、やめなさいよ#!」。



洋子、「未来は、綺麗で美味しい、洋食屋が街を賑やかしてるんでしょ#?」。



春菜、「でも..、味気ない張りぼてだから..」。



その言葉と、春菜の表情を見詰めて、思いに更ける昭和44年組だった。



すると先ほどのお婆さんが、お盆に水の入ったコップを乗せて来て、「おやおや、



皆さん、お話に華が咲いている様だけど、注文はお決まりかい?」。



急いで立て掛けてあった、お品書を良子が開いて、



四人は一緒に見ていた、そして良子が、「え~と、いなり二つと、天ぷら蕎麦」。



すると、後の三人が続いて、同時に、「同じもので..」。



お婆さんは、「いなり二つ、天ぷら蕎麦を四人前ね」。



そう言うと、四人は軽く頭を下げた。



お婆さんは、お盆を持って立ち去った。



このフロアーは、男性客はオートレースや競艇、マージャンの話、



女性客は結婚や、料理の話、日常便利な電気製品を手に入れる事に、華を咲かせていた。



春菜の居た時代とは違い、夢や希望に満ち溢れていた。



お金の心配なんて、どこ吹く風か、大量に給料を注ぎ込んでも、



欲しい物を、手に入れ様とする思考が全てで、会話が進んでいた。


この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ