第四章 新しいライフスタイル 3
卸本町の蜃気楼オリジナル文章
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昼過ぎ、会社の地下倉庫で。
春菜が居た時代とは違い、倉庫では賑やかく、
梱包する人や、運ぶ人、書類を見ながら送り先を、確認する人やらで忙しい。
春菜も、仕事をこなしていた。
重いダンボールを抱えては、積み上げて、そのダンボールをまた抱えて、
階段を上る男性社員などが、見受けられた。
すると、杉浦が春菜が出て来た、物置の扉を開けて、不思議がっていた。
それを見た、里美が、「どーも、未来からやって来た方と、
今現在ここに居る方の行動が逆ね..」。
実は、春菜がここにやって来た時から、事情を聞いた社員達は、
地下倉庫に来ると、物置の扉を開けて考え込むのであった。
小幡、「すでに未来人は、この時代に馴染んで、
何事も無かった様に、働いて居るけどね..」。
春菜、「助かりました!。制服が過去と未来で同じだったから..」。
小幡、「い..いや、そう言う問題では無くて..」。
里美、「順応性有るわねぇ~」。
感心していた。
杉浦、「ねぇ春菜ちゃん、未来では恋人いたの?」。
春菜、「いません..。去年別れました..」。
里美、「おやおや、プレイボーイが、本領発揮して来たわよ」。
すると良子が、階段を下りて来て、「ねえ、広岡君居ない?」。
ダンボールを抱えて、立ち上がろうとしていた広岡が、「何..?」。
階段の所で、良子が、「島本文具店から電話で、
注文でB4の鉛筆、2ダース持って来てくれと」。
広岡、「2ダースそれだけ..、しょうがない、花巻文具に寄った帰り、届けるよ」。
抱えていたダンボールを降ろし、渋々B4の鉛筆のダンボールから、
2ダース鉛筆を取り出して、再度ダンボールを二つ抱えて、階段を上って行った。
それから数分後、地下倉庫で仕事をしていた春菜は、倉庫で一人きりになっていた。
仕事を済ませて、階段を上がろうとしていたら、急に物置の扉が開いた。
振り向くと、中から杉浦が出て来た。
杉浦、「あ..春菜ちゃん、居たの..」。
春菜、「え..え~、杉浦さんこそ、そんな所で何をしていたんですか?」。
杉浦、「いや..、中で待っていたら、未来にタイムトラベル出来るかな?と、思って..」。
のんきな、杉浦に何だか春菜は、呆れ顔で、「お仕事行かなくて、いいのですか?」。
杉浦、「未来にタイムトラベルすれば、仕事やらなくて済むからさ!、待っていたけど、
行けそうも無いから、出て来た」。
そんな杉浦に、
何だか素朴な感覚を覚えて、「私の居た時代でのお仕事を、変わってくれるの?。
未来のお仕事は退屈ですよ、朝はコンピューターのスイッチを入れるだけで、
夕方はボタン一つだけ押して、集計の紙を出すだけですから..」。
杉浦、「でも運送の仕事は、今と変わらないのだろ?」。
春菜、「確かにそうですね!」と、笑った。
杉浦は、自分が運ぶ荷物を抱えて、「ねぇ、春菜ちゃんて、名前誰に付けて貰ったの?」。
春菜は急にそんな事を聞かれて、首を傾げて、「え~と、お母さんだと思うけど、
詳しい由来は解りません」。
杉浦、「春菜ちゃんに、ピッタリな名前だね..」。
春菜は、はにかみながら、「そ..そんな事、言われたこと無いけど..、
有難う御座います」と、頭を下げた。
杉浦、「春菜ちゃんの時代は、バイクは有るの..?。
すでに二輪なんて古臭くて、無くなって四輪車ばかりだろ!」。
春菜、「そんな事有りません、性能はこの当時よりアップしていますが、
若い人達は、スクーターに乗っています。
大型のバイクに乗っている人は、ステキですね」。
杉浦、「そりゃ~ 驚いた!。40年後の未来でも、
スクーターは、若者には人気が有るんだ!」。
春菜、「はい!、音楽ガンガン掛けて、家の前の国道を走り回っていましたよ」。
杉浦、「それは、ナウだね!」。
春菜、「な..ナウですか..」と、首を傾げた。
杉浦、「春菜ちゃん、バイク好きなんだ!。
今度俺の自慢のロケットに、乗らない?」。
春菜、「ろ..ロケット?。上空に飛び上がるバイクですか?」。
杉浦は大笑いで、「バイクの名前だよ..、でも飛び上がるくらい、早くて刺激的だよ」。
さすがは、ヤング..モトイ、若い血潮で盛んな春菜は、
指を組んで喜んで、「乗せてください!」と、叫んだのであった。
この時代からすると、イケ面で、渋いオールバックの杉浦に、
胸キュンな、春菜だった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。