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第三章 レトロな街5

卸本町の蜃気楼オリジナル文章

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515222.html


そんな訳で、次の日の昼休み、会社の地下倉庫で、



良子があの二人に事情を話すと、



洋子、「この、おたんこなす#!」。



いきなり、春菜の頭をどついた。



春菜、「ごめんなさい」と、下を向いた。



圭子、「洋子、ぶつんじゃないの#。



この時代の、価値観が解らないこの子が、



あのケチな叔父さんから、300万せしめたなんて、上出来でしょ#」。



洋子、「そりゃ~そうだけどね#。携帯電話なんて代物、



国防省か、日本科学研究所に売れば、億万長者よ#」。



良子、「誰に売るかは、春菜の自由でしょ#」。



洋子、「売る前に、私に一言、相談しなさいよ#!。



大損してるでしょ#、も~」。



大喧嘩なる三人に、戸惑う春菜だった。



春菜、「私の時代では、携帯電話の型落なら、タダでくれますから..」。



余計この場で、反感を買う春菜。



特に洋子に。



ム#っとしながら洋子が、「あら そ~なの#!。



この時代では、その発言は、宇宙人よ#」。



良子、「いじめるんじゃないの#!。



だいたい、そんな進んだ機器を、あの場で私達に見せたら、どうなると思うのよ#。



怖がられて春菜は、誰にも相手にされなくなるでしょ#」。



そして、洋子は自省した面持ちで、「そ..そう言われればそうだけど」。



春菜は突然、「皆さんには、ご迷惑お掛けしました。



私、皆さんに奢られてばかりで、ここに来てから、自腹切っていません。



なので、銀行に貯金して奢られた分は、皆さんにお返ししますので」。



そう言って頭を下げて、この場を立ち去ろうとした時、良子が突然、「あんた#、



300万の一割自分が貰って、残りはこの三人に配るつもりでしょ#」。



洋子、「何言ってるのよ良子、逆でしょ?。



それを言うなら、一割私達に配って、残りは自分が貰うつもりでしょ?」。



良子、「この子は未来を知ってるの。



だから、今手元の300万全額、私達に上げても、



これから何が良くなり、何が悪くなるか把握してるから、



どの業界に自分の身を置けば、明るい未来が来るか解るから。



例え、住所不定で身元不明でも、暮らせる自信は有る。



この子が今欲しいのは、私達仲間の信頼関係であり、心の繋がりよ。



春菜、今あんたの思いは、『金なんか欲しければ上げる、でも、



それで私建ちから信用を得て、親しい関係が作れれば、本望だ』。そうでしょ#」。



春菜、立ち止まり、「そうです。私が欲しいのは、信頼できる友達そう..同僚です。



今まで、派遣で働いて来て、自分が会社で生き残れる事だけを願い、生きて来ました。



いつしか、周りの同僚がライバル関係になり、



一緒に楽しく会話していても、いつか嵌められる様な気がしてました。



たった一度の気の緩みから、選手交代されて、もう死のうとまで思いました。



そんな時、この時代に遣って来て、厚い歓迎に心躍りました」。



春菜は涙ながら振り向いて、「たった一日の出来事だけど、



私を慕ってくれた事、感謝します」。



そう言って、歩き出す春菜に、洋子が、「悪かった。私が悪かったから、



そんなに未来は、世知辛いのね..」。




圭子、「その300万、銀行に納めに行こうか」。



良子、「春菜の思い、痛いほど伝わったわよ」。



未来人の語る世の中に、ため息を付く、昭和44年組であった。



お昼も済ませないまま、四人は中川のハンコを作りに、



ハンコ屋へと足を運んだ。



ここは卸本町、何でも有る町。



当時としては、ここが現代で言うなら、大型スーパーの役割を果たしている町。



札束持って、いざ銀行へ..。



春菜は、窓口で風呂敷を解いて、札束をドカっと置いた。



三人に見守られながら。



座っていた係りの、女性の顔が引吊った。



窓口の女性、「口座を作るのですか?」。



春菜、「はい..」。



窓口の女性、「法人ですよね..」。



春菜、「個人です..。書類の通り、普通貯金で」。



この当時、こんな高校生みたいな女の子が、



事務服着て300万もの札束を、窓口に堂々と置いて、



普通貯金で個人の口座を作る人は、まれだったので、窓口の女性は焦ったのだった。



窓口の女性、「は..はい解りました。手続き致しますので、



しばらくお待ち下さい」と、言って、札束を抱えて、男性社員の所に歩いて行った。



しばらくすると、通帳が出来上がって来たのだった。



それを見た三人は、ため息を付いたので有った。



そして定食屋にて。



圭子、「その、携帯電話は、未来では誰でも持って歩いてる訳ね!」。



春菜、「はい、日本人口の7割は持っています」。



三人は、「へ~!」、驚いた。



春菜、「電話機能だけでは無く、カメラ、テレビや電子メールや、電車も乗れるし、



買い物も出来るし、遣ろうと思えば、銀行との遣り取りも出来ます」。



洋子、「流石は宇宙人!」。



良子、「だから、からかうの、よしなさいよ#」。



圭子、「電子メールとは、しゃれているわねぇ~。洋画のスパイ映画そのものね!」。



洋子、「その電子メールって何よ?」。



春菜は、味噌汁をすすりながら、「携帯電話同士で、画面で文字を打って、



書いた文字を相手の携帯電話に、送信する事です」。



圭子、「それは、スパイ映画以上ね~。未来は進んでるわねぇ~」。



良子、「40年後の未来よ!」。



洋子は、キュウリをパリパリ食べながら、「あんたそんな、進化した時代に生まれて、



あんたから言わせれば、不便なこの時代に来て、不満ではないの?」。



春菜、「逆に、大満足です。これから未来は発展して行く中で、



私達は、その工業の糧となり、給料も上がり何より、



まじめに働けば、その評価をしてくれますから..」。



複雑な思いの、昭和44年組だった。



圭子、「創りすぎた結果、人間の思考や想像を超えた物が、ありふれて..、



飽和状態になったのね」。



春菜、「その通りです」。



良子は、お茶を飲みながら、「でも、夢見たいな話ね..」。



圭子は、胃薬を飲みながら、「夢で有りたいわね..。現実味が沸かないけど」。



洋子、「この子の持ってた、未来のお札の透かしや、



細工は、聖徳太子寄りも、繊細で緻密よ!」と、



洋子のスカートのポケットから、福沢諭吉を取り出した。



ちゃっかり、洋子が預かっていた。



春菜、「私はこの夢が、現実で有りたいです」。



これで四人共、次元は超えているが、複雑な思いが、分かち合えたのであった。


この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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