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私の短編

Everyday

作者: 蒼井七海

 今日はとても、不思議な感じ。

 春がやってきたかと思えば、急に冬へと逆戻り。


 ……なんだかなあ。


 心の中で、呟いた。

 今日は、休日。これと言って何もない、ただの休日。

 こういゆ何もない、通り過ぎるだけの日ばかりが続いたら、どんな感じだろうか?

 ……平和だ。けど、退屈だ。

 そりゃあ日常生活の中では、変な失敗と、妙な成功ばかりを繰り返す。嫌だ、憂鬱だ。そう思うことも、ないと言えば、嘘になる。

 そして何より、


――時々、生きてゆくことが辛くなる――


 時々勉強しに行く教室の扉を開けようとして、聞こえてきた言葉。

 それは、針のように、私の背中に突き刺さる。

 頭の中で、聞こえてきた言葉がこだまする。

 聞き間違いだろう。ただの勘違いだろう。そう思いたくても思えない。

……何より、以前経験したことが、脳裏に浮かびあがってきて……

 ほんの一瞬が、すごく長く感じられた。

 そして、教室を出た。気のせいだったかもしれないが、すこし早足になってしまった気がした。

 廊下に出た。なぜかわからないけど、涙があふれてくる。

 

 だけど、いつもの見慣れた大きな扉の前に来て、その涙を拭った。

 どうせ、いつもの悪ふざけだろうし。

 何より、この顔を見られるのが嫌だった。

 だから、何もないふりをした。

 扉を――開けた。



 ふと、手を止めてみる。その瞬間、静寂が私を包んだ。

 この静寂は、嫌いじゃない。

 その時、誰かの声が聞こえた。

 私を呼んでいる。

 なんでか微妙に呆れたような気持ちで、私は立ち上がった。

 

 まあ……一応待っている人もいるんだし。

 それなら、ぼちぼち生きてみようかな。

 慌てず騒がず、焦らずのんびりと。

 毎日を生きてみたっていいんじゃないかな。

 

 きっと冷えてる三月の夜。当分は、冬のままだろうな。

 だけど、きっと『春』はすぐそこまできている。根拠はないけど――そう、思った。

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