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『その子』。

作者: ポルナ


学校からの帰り道のバス停に、いつもその子はいる。



その子は、いつも古びたベンチに座り空を見上げている。



僕は毎日その子のとなりにすわって、いろんな話をするんだ。




……といってもその子は無口だから、ほとんど僕が一方的にその日あったことを話すだけなんだけどね。






その子は空を見上げながら僕の話を聞き、時々相づちをうちながら


可愛い笑顔を見せてくれるんだ。








その子はどこに住んでいるのかも、


歳も、


名前もわからない。







……わからなくていいんだ。






ただ、その子のとなりにいるとなんだか落ち着くし


あったかい気持ちになるから、







…僕は毎日、日が沈むまで

そこにいるんだ。













――ある、


雨がザアザア降って


風がビュウビュウ吹く日。





僕は

かさが飛ばされそうになるのをおさえながら


いつものバス停についたけれど、






その子はいなかったんだ。





ただ、



古びたベンチや


うすっぺらい板張りの屋根が、



風でガタガタ音をたててた。












どうしたんだろう。





その子は僕が中学生になってからこのふた月、



毎日かならずいたのに。









どうしたんだろう。













――あの日から、


ひどい天気だったあの日から一週間。




その子はずっといないまんまだ。






僕がバス停につくたびに、可愛い笑顔を見せてくれたあの子。






毎日、相づちをうちながら僕の話をきいてくれたあの子。







…どこか、とおくに行っちゃったのかな。













――梅雨が明けて、


ひさしぶりに気持ちのいい晴れの日。






僕は「今日もいないんだろな」と思って


バス停を通りすぎようとしたけれど、





――そこにはまた、





あの子がいたんだ。





……また僕に、


その笑顔を見せてくれたんだ。













その日またその子のとなりにすわって


いろんな話をして、


夕日に空がそまり始めたころ、






僕は



ずっと言おうとしてたけど

言えなかったことを



はじめて言った。







『君さえよかったら―――























―――僕といっしょに、

暮らさない?』














……その子は少しキョトンとした表情に

なったあと、




いつもの笑顔になり


その口をひらいた。
















『ニャァ〜』














僕はそれを肯定とうけとめて


その子を抱き上げ、




伝わってくるぬくもりを感じながら

帰り道を歩いていった。









……とても、


夕日がきれいな日だった。


もし読んでる途中で『その子』が「人間ではないな」と感づいちゃったら、僕の負けです(笑)

(気づかなかったからといって僕の勝ちというわけではありませんが)




その方は「どこでわかったか」教えていただけると嬉しいです。


参考にしますので…m(_ _)m




それ以外の方からも感想待ってます(^^ゞ




読んでいただきありがとうございました〜(^^)ノシ

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