表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リライト・デッドエンド  作者: 未確定ログ
第1部 欠けた世界編 -観測-
22/55

第二十二話 もう一人の悠真

静止した世界。


止まった風景の中で、“もう一人の悠真”だけが動いていた。


神崎悠真は息を呑む。


目の前の存在は、自分と同じ顔をしている。


同じ制服。


同じ声。


だが決定的に違う。


“世界の止まり方”を知っている目だった。


「……誰だよ、お前」


悠真が言う。


もう一人の悠真は小さく笑う。


「その質問、何回目だと思う?」


意味が分からない。


だがその言葉には、“繰り返し”を知る響きがあった。


篠宮が顔を強張らせる。


「あり得ない……」


もう一人の悠真は篠宮を見る。


「久しぶりだな、修正者」


その瞬間。


篠宮の表情から血の気が引く。


「お前……まさか」


篠宮が呟く。


もう一人の悠真は肩をすくめる。


「分類名で言うなら、“先行保持者”だ」


悠真は理解できない。


「保持者って、俺以外にもいるのか」


その問いに、先行保持者は静かに頷く。


「お前は初めてだと思ってる」


「でも違う」


静止した街を見ながら、彼は言う。


「世界は何回も観測されてる」


悠真の背筋が冷える。


巨大な目が二人を見る。


だが今度は迷いがある。


「未定義個体を複数確認」


先行保持者が笑う。


「困ってるな」


悠真が問う。


「お前は何を知ってる」


先行保持者は答える。


「全部じゃない」


「でも、お前よりは長く見てきた」


そして空を見る。


「この世界は“壊れてる”んじゃない」


「何度も失敗してるんだ」


悠真が息を呑む。


「結衣は……?」


先行保持者の目が少しだけ揺れる。


「毎回いる」


その一言で、空気が凍る。


「毎回、観測に引っかかる」


「毎回、消される」


「毎回、お前が覚えてる」


悠真の頭が真っ白になる。


「じゃあ俺は……」


先行保持者が静かに言う。


「何度も失敗してる」


篠宮が低く言う。


「黙れ」


先行保持者は笑う。


「まだ隠すのか?」


そして悠真を見る。


「こいつ、お前を“毎回修正してる”ぞ」


悠真の呼吸が止まる。


篠宮が目を逸らす。


それだけで十分だった。


悠真は理解する。


自分は初めてじゃない。


巨大な目が強く脈打つ。


静止していた世界が、少しずつ動き始める。


観測が“再演算”を始めている。


「記録保持者の増加を確認」


「ループ構造を検出」


先行保持者が顔を上げる。


「ほら、バレた」


世界が再び動き出す。


風が吹く。


車が走る。


人々が歩き始める。


だが悠真だけは動けない。


先行保持者が背を向ける。


「次はちゃんと思い出せよ」


その瞬間。


彼の身体がノイズになって消える。


スマホに最後の通知。


【世界反復構造:露見】

【修正履歴:一部解放】

【第二段階 深層移行】

読んでいただきありがとうございます。

感想・評価励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ