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リライト・デッドエンド  作者: 未確定ログ
第1部 欠けた世界編 -観測-
11/55

第十一話 修正者の影

世界は静かだった。


しかしその静けさは、もう以前の“何もない静けさ”ではない。


神崎悠真はそれを感じていた。


――これは「整えられた静けさ」だ。


結衣は朝食を作っている。


昨日の停止も、異常も、何もなかったかのように。


ただ、動作だけが少し違う。


無駄が完全に消えている。


「おはよう、兄貴」


その声に揺れはない。


だが悠真は気づく。


この声は“結衣本人のもの”ではない。


学校。


教室に入ると、違和感が一つ減っている。


机の並び。


生徒の位置。


会話の流れ。


すべてが均等に揃っている。


玲司もいる。


しかし昨日までの“玲司の揺らぎ”は消えている。


「なあ悠真」


その声は自然だ。


自然すぎる。


「昨日さ、なんか変な夢見た気がするんだよな」


悠真は反応する。


「またか」


玲司は軽く笑う。


「いや、でももういいやって感じ」


その瞬間、悠真は確信する。


“思考の放棄”が始まっている。


昼休み。


誰かが黒板を見ている。


そこには何も書かれていない。


だが一瞬だけ、文字の跡が見える。


【修正完了】


悠真だけがそれを認識する。


放課後。


帰宅途中。


街の角。


そこに人が立っている。


だがその人だけが違う。


周囲の“均質化”から外れている。


悠真は足を止める。


その人物は悠真を見る。


そして言う。


「やっと見えたか」


その声を聞いた瞬間、悠真の記憶が揺れる。


――篠宮。


確かに“消えたはずの存在”。


「お前……」


悠真が言うと、篠宮は首を振る。


「消えたんじゃない」


「“修正された側”だ」


悠真は息を止める。


篠宮は続ける。


「この世界は壊れてるんじゃない」


「壊れないように“直され続けている”だけだ」


悠真は問い返す。


「誰が?」


篠宮は少しだけ間を置く。


「修正者」


その言葉と同時に、悠真の頭の中に違和感が走る。


結衣の存在が一瞬だけ“別の層”にズレる。


篠宮は続ける。


「お前の妹は“個体”じゃない」


「修正対象の中で、一番深く混ざった存在だ」


悠真の視界が揺れる。


空を見ると、空が薄い膜のように見える。


その向こうに“別の層”がある。


篠宮は静かに言う。


「見えてきたな」


「それが“第一層の外側”だ」


スマホが震える。


今度は明確な表示。


【修正者:接触認証】

【篠宮アカウント:再接続】


悠真は息を止める。


「お前は……何だ」


篠宮は答える。


「管理側に近い“エラー処理係”だ」


篠宮が空を見上げる。


「そろそろ気づく」


「この世界は“欠けてる”んじゃない」


悠真が問う。


「じゃあ何だ」


篠宮は静かに言う。


「削られ続けてる」


その瞬間、空に“割れ目”が走る。


そしてスマホに最後の通知。


【修正フェーズ:観測層へ移行開始】

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