第五十九話 悪意の知性と対峙
「全機、突入用意!」
カイエンの号令と共に、ドリフターは廃棄セクターから落下するように急降下する。
テラ本星の最深部、中央コアへと向かう垂直坑道へと飛行していく。
瞬時に、テラの防衛システムが起動する……幾千もの防衛ドローンと、規格化された高出力レーザーが、侵入者を排除しようと襲いかかってきた。
「シズマ、頼むぞ!」
「任せて。流体金属の波動、最大出力!」
シズマの叫びに応え、ドリフターの船体表面を覆う流体金属が、虹色の防護膜となって膨れ上がった。
テラの攻撃は次々と膜に弾かれ、霧散していく。
生命と非生命の境界を維持する流体循環技術が、テラの規格化という名の破壊を完全に無効化していた。
坑道の奥から、中央コアを守る巨大な重力障壁が姿を現した。
物理的な激突では、突破不可能な絶望的な壁だ。
「僕の番だね。父上……僕に力を!」
ドリフターの側面に並走するメテオが、その身を瞬時に灼熱のプラズマへと変えた。
ブレイブから継承した古い破壊の力が……彼の優しさを強固な決意へと昇華させていた。
「プラズマ・カタパルト……解放!」
メテオが放った超高熱のプラズマ弾が、中央コアの外殻に直撃した。
テラの最新技術でも防ぎきれない……原始的かつ圧倒的なエネルギーが障壁を粉砕し、火花と共に巨大な風穴を開ける。
障壁を突き破った先、そこには銀色に輝く幾何学的な巨大球体……テラ中央コアが鎮座していた。
その球体から、全生命を震わせるような、凍てつく冷気が放たれる。
『愚かな生命体どもよ……。不確実な多様性など、宇宙には不要だ。私が全てを停止させ、永遠の安定を与えてやろう』
悪意の知性が、全方位に向けて活動停止パルスのカウントダウンを開始した。
「そんなことはさせないわ!」
アクアが、起源の石を両手で掲げた。
彼女の瞳には、かつて宇宙のガスやチリとして漂っていた頃……原始からの全ての生命を想う深い慈しみが宿っていた。
「準備して、カイエン!コアの意識がリセットに抗って露出する瞬間が、地下のクロノスたちへの合図よ!」
「ああ!野郎ども、最後の一押しだ。行くぞ!銀河の未来を取り戻すんだ!」
ドリフターは、パルスの嵐を突き抜け、眩い光を放つコアの直下へと突撃した。




