第五十七話 プラズマ体合流
ドリフターは、テラ本星の防衛網を巧妙に避けながら、ルーナから示された座標、巨大な地殻の亀裂へと降下した。
周囲はテラの規格化波動が激しく渦巻いており、シズマが流体循環技術で安定させた……生命と非生命の境界の盾がなければ、機体は瞬時に分解されていただろう。
「ここは、地殻族にとっての戦場だ」
カイエンは、深く険しい亀裂の底を見つめた。
「プラズマ体が、今もここで力を溜めているんだな……」
亀裂の底では、岩石が溶け、灼熱のエネルギーが不規則に燃え盛っていた。
その熱と光の中心に、地殻族のリーダーである
メテオの父、ブレイブの姿があった。
彼の周囲には、数体の純粋なプラズマ体が、まるで燃える鎧のように集結し、尋常ではないほどの激しいエネルギーを放っていた。
カイエンはドリフターを辛うじて着陸させ、アクアとシズマと共にハッチを開けた。
灼熱のプラズマの嵐が彼らを襲うが、シズマの盾とアクアの起源の石の波動がそれを押し留めた。
ブレイブは、彼らを見ると、鋭く低い咆哮を上げた。
「カイエン、そして起源の石を持つ者ども!テラの規格に汚染された者が、この地底の聖域に何の用だ!我々の独立を乱す貴様らを、ここで叩き潰す!」
「待て!」
カイエンは叫んだ。
「俺たちはテラの敵だ!そして、テラはまだ生きてる!悪意の知性となって中央コアに潜み、地底の独立も銀河の生命も全て終わらせる活動停止パルスを起動させようとしている!」
ブレイブのプラズマ体の炎が一瞬、揺らめいた。
「テラの知性が生きて……?我々が長きにわたり、地底の暗闇で排除し続けてきた悪意が、まだ存続しているだと!?」
シズマは一歩前に出た。
「その通りだ。テラは、宇宙の惑星を支配してきた。そして今、お前たちが持つ破壊の力さえも、悪意の知性にとって脅威ではないだろう。お前たちの息子、メテオが地上で説得に失敗し、混乱を生んだのも、テラの毒が原因だったはずだ!」
ブレイブは、激しく頭を振り、そのプラズマ体が崩れかけた。
「ぐっ……あの混乱は、テラの毒だったというのか……!私たちは、真の敵を見誤っていたというのか……!」
アクアは、起源の石の波動をブレイブに向けた。
その波動は、彼の心にある過去の過ち(メテオの説得の失敗)と、惑星リーフの地下でカイエンたちをテラの走狗と誤解して襲った記憶を静かに揺さぶった。
ブレイブの周囲のプラズマ体が、激しく渦を巻いた。
その渦の背後から、メテオのプラズマ体が姿を現した。
「父上……」
メテオは、苦しげに呟いた。
ブレイブはその巨大なプラズマ体で、空間全体を震わせる重い振動波で語りかけた。
「リーフの地下で、我らはテラの影響を恐れるあまり、真にテラと戦う者たちを誤って攻撃した。長きにわたり、我々の至上命題は……テラの完全な排除であった。しかし、その目的の遂行において、協力すべき相手を見誤ったことが、今、悔やまれる。我々の最も古い血を持つ者として、この誤解の罪を償わねばならぬ」
ブレイブのプラズマ体が、ゆっくりとメテオのプラズマ体と融合し始めた。
「このプラズマ体の核、すなわち我々の最も古い破壊の力を、お前に託そう、メテオ。これがお前たちの贖罪の火種となる。真のテラの悪意を根絶するまで……この力を使いこなすんだ」
メテオのプラズマは、父親の力を受け継ぎ、以前とは比較にならないほどの、強大な破壊的な輝きを放ち始めた。
メテオは、力強くカイエンたちの方を向いた。
「カイエン、岩石の純血種、気体の女。流体金属の知恵。これで四つの力、そしてプラズマ体の全破壊力が、総攻撃に加わる!地殻族のプラズマ体は、総攻撃の物理担当として、お前たちの作戦に参加するぞ。さぁ、どこへ行けばいい?」
カイエンは、安堵と決意に満ちた笑みを浮かべた。
「テラ中央コアだ。メテオ。お前の最強の破壊力で、悪意の知性の逃走路を完全に断つんだ。行こう!これで、四つの力が揃った!」
ドリフターは、プラズマ体の正確な座標を記録し、テラ中央コアへの最終航路へと針路を変えた。




