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憧れのテラ  作者: 星乃夢


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第五十三話 起源の秘密


 シズマの案内の元、ドリフターはリーフ上空の中間ガス層へと潜行した。


 シズマの推測通り、そこには有毒なガスが充満し、地殻族の聖域とも重なる……誰も近づかない空間だった。


 シズマは、特定のエネルギーパターンを送信し、幻影の隠れ場所である半透明の巨大な空間を出現させた。


 ドームの内部では、様々な色の気体生物がゆったりと漂っていた。


 彼らの指導者である長老ザンと呼ばれる巨大なガス体の気体生物が、静かにカイエンたちを迎え入れた。


「テラ崩壊後、初めて外の者と接触するが……岩石の血を持つ者と、岩石とテラの血を持つ者、そして我々と同じ血を持ち起源の石を携える者か……」


 長老ザンは、空間全体に響く振動波で語りかけた。


「さて、何用だ?我々は何者にも関わらないことこそが究極の調和だと知っている……だからこそ、この限られた空間で我々だけで過ごしてきた……」


 アクアは、ザンに対し、穏やかな振動波でリヴでの出来事や、銀河の他の星々でテラの支配や規格化が、いかに宇宙の生命を蝕んでいるかを伝えた。


「テラの支配は終わりました。でも、テラが隠した起源の石の真実を知らなければ、同じ過ちがまた繰り返されるでしょう。あなたがたは、すべてを見てきた……本当の歴史をご存じではないでしょうか。恐らく、惑星イオの悲劇もご存じですよね」


 長老ザンは、重々しく答えた。


「あぁ、惑星イオ……豊富な鉱物が悲劇を生んだのだ。テラだけではなく、多くの異星人がイオの起源の石を手に入れようとした。だが、テラが広めた起源の石の物語は、全てがコントロールするための嘘だった。起源の石は、テラ自身が作り出したものではないからだ。そして、我々気体生物は、テラが何を恐れていたかを知っている……」


 シズマは、緊張した面持ちでザンを見つめた。


「一体、どういうことだ?」


 ザンは語り始めた。


「起源の石は、本来は一部の異星人が発見し、密かに守っていた……だが、その秘密を知るとアリが群がるように惑星イオに様々な異星人が押し寄せた。もちろん、テラも狙っていた。

 なぜならそれは、遥か太古の銀河の文明が、異なる種族、異なる思考が互いの存在を認め、共存するための媒介として創造したものだからだ。生命の多様性を維持するための……真の調和の装置だったのだ……」



 ザンは、しばらく目を閉じて沈黙した。


「しかし、テラはそれを、全ての生命の規格化と支配に利用しようと考えて利用したんだ。残念なことだ……使い方次第で善にも悪にもなってしまう」


 アクアが静かに続けた。


「だから、テラは起源の石が持つ……多様性の側面を隠蔽し、統一や支配の力としてだけ世界に広めた……のですね」


「それって……クロノスが願っていた……」


 カイエンが呟き、シズマは再びザンを見つめた。


「そして、なぜ貴方たちは、テラが崩壊した後まで、この聖域に隠れ続けているんだ!」



 長老ザンは、深い悲しみを滲ませた。


「我々にとって、関わらないことこそが最後の調和の行為だった。真の調和の力が、支配の道具として利用される……それは、この銀河の生命体が調和を真に理解するには、あまりにも未熟であるという証明だった。だから、我々は沈黙を選び、隠れることで知識の汚染から守ろうとしたのだ」


 カイエンは、怒りを覚えて鋭く尋ねた。


「テラは崩壊したはずだ!最終プログラムとは何だ?テラは、いつまで銀河を呪い続けるんだ!」


 長老ザンは、その問いに重い答えを返した。


「テラの悪意の知性は、データとして不滅だ。テラの身体としての施設は滅びたが、その悪意は電力やエネルギーを通って、銀河の最も安全な中央コアに逃げ込んだのだろう。そして、中央コアを基盤に、全生命体の活動停止パルスを起動させようとしているのだ……死なば諸共だな。これが最終プログラムの正体だよ」


 シズマは呻くように言った。


「またか……いつまで続くんだ、この戦いは!」


 ザンは静かに続けた。


「それを終わらせるには、中央コアの悪意の知性だけを、プログラムレベルで根絶するしかないだろう。我々が知る最終作戦は一つだけだ。それは、テラ本星の全電力、全エネルギーをシャットダウンし、リセットすることだ。しかも、それが完璧な作戦かどうかは、やってみなければ分からない……」



 長老ザンは、リセットと再起動に向けた四つの力を束ねる為の作戦を明かした。


「一つ。岩石の血を持つ純血種シズマ。我々の技術で、お前を生命と非生命の境界に立たせ、防衛網を欺く盾とする」


「二つ。我々と同じ気体の血を持ち起源の石の波動を操るおアクア。規格化の波動を無力化し、リセットの引き金を引く」


「三つ。リセット後の再起動のプログラム担当。テラの悪意をプログラムレベルで修正する。これには、テラのクロノスとオーガストが必要となる」


「四つ。総攻撃の物理担当。リセット後の再起動の隙を突き、流体金属の異星人と地殻族のプラズマによる総攻撃で、中央コアの物理的な障壁を完全に破壊し、悪意の知性の再度の逃走を防ぐ」



 カイエンは、作戦図を見つめた。


「四つの力……全てが揃わなければ、テラの呪いは終わらないんだな。長老ザン、流体金属はどこにいる?」



 長老ザンは、静かに頷いた。


「流体金属の異星人は、テラの支配から逃れ、今、惑星ゼニスに近い辺境の星アモルファスに我々と同じように隠れている。彼らを捜し、皆で協力して四つの力を束ねるのだ」



 


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