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憧れのテラ  作者: 星乃夢


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第五十二話 リーフの影


 ドリフターは、惑星リヴから短縮ルートを使い、シズマの待つ惑星リーフへと到着した。



 カイエンとアクアは、目立たないように、シズマが指定した地殻深部の秘密のアジトへと向かった。


 アジトの入り口で、岩石の肌を持つシズマが、腕組みをして待っていた。


 彼女の硬く強い意思を宿した瞳は、リーフの歴史と重みを背負っているかのように見えた。


「また来たな、厄介事を持ち込む天才さん(カイエン)……そして、アクア」


 シズマの声は、いつものようにカイエンには厳しい。


「さっそくだが……テラが崩壊したからといって、この星の裏の顔は変わらない。隠れる者と、気づかない者で成り立っているんだ」


「で、気体生物の連中の居場所は分かったのか?ガスのやつら、別荘地なんてホントにあるのかよ。どこに潜んでいた?」



 シズマは、アジトの壁に投影されたリーフの地層図を示した。


 それは、テラが作り上げた公式な地図とは異なり、地殻族の古文書や過去のエネルギー変動記録が重ねられたシズマが独自に組み合わせた物だった。


「システム解析だけでは無理だった。それで、この星の裏の知識と、純血種としての情報に加えて、長年の経験を使った結果が……」


 シズマは指で差し示した。


「気体生物は、己の存在を環境に溶け込ませる技術を持つ。だが、それは完全に消えるわけじゃない。つまり、彼らが隠れられるのは、地上住民が無意識に恐れて決して近づかない……リーフ特有のガス溜まりだと睨んでいる。特にこの中間層のガス層は、有毒な成分と、地殻族が崇拝する聖域が重なる場所だからな。そこが怪しいな」


「地上住民は恐怖で近づかない。地殻族は信仰の為に近づかない。そして、テラの監視網も、信仰と恐怖の対象は、無視するようにプログラムされていたのね」


 アクアは感嘆の波動を送った。


「彼らは、人々の弱点と信仰を盾にして隠れていたのさ。それぞれの盲点を利用した究極の隠れ場所ってわけさ」


 シズマの言葉に、アクアが続けた。


「その通りだわ。シズマさんの言う通り……地上と地殻の境界線であり、存在が希薄な者しか入らない領域だとしたら……私と同じ気体生物なら安全に身を隠せるはずよ」


 アクアの言葉にシズマは頷き、決意を込めて言った。


「彼らは、この星の最も暗い真実を知っている。そして、テラが起源の石について何を隠していたのかも……」


 カイエンはシズマを見た。


「よし。そこまで分かれば、さっそく秘密を知る奴らの顔を拝みに行くぞ。シズマ、お前のやり方で、俺たちを案内してくれ」


 シズマは静かに頷いた。


「覚悟しろよ、カイエン。彼らに会うことは、私たちの過去と、未来のテラの秘密を知ることになるだろうからな……」


 

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