第五十一話 開かれた未来
中央広場では、リアが新たな住民代表に選出され、リヴの新しい調和が始まっていた。
アルゴは、支配者のローブを脱ぎ、一人の父として娘の理念を支持した。
「リヴの新しい調和は、お前の理念によって築かれるべきだ。私は、秩序の担い手としてではなく、リヴの未来を静かに見守る一人の父として、お前たちの理解への努力を支えよう」
アルゴは、娘に頭を下げた。
支配が終わり、父と娘の絆が真の調和によって、互いに理解された瞬間だった。
住民たちは、同調圧力の鎖から解放され、活力を取り戻し始めていた。
「私たちが関わるべきことは、もうないわね。この星は、真の自由の価値を知ったのだから……きっと、もう大丈夫よね」
アクアの言葉にカイエンは、ドリフターの操縦桿を叩きながら言った。
「そうさ、若者の未熟さを年寄りがサポートするってんだ。上手くいくに決まってるさ。さて、親子喧嘩の仲裁は終わったな。テラは崩壊したが、銀河にはまだ、規格化の呪いが残ってるみたいだ。俺たちの仕事は終わってねえぞ」
アクアは、宇宙へと飛び立つ準備をするカイエンの隣で、静かに言った。
「テラの残党を追う前に、一つ確かめたいことがあるわ。以前、私たちが行った惑星リーフのことよ」
カイエンは首を傾げた。
「シズマと地殻の星か?あそこは地上住民がテラの洗脳から解き放たれて、地殻族と仲良くやってるはずだろ」
「ええ。以前、イオの長老さまから、かつてリーフには気体生物の別荘地があるという話を聞いたの。でも、地上にも地下にも、彼らが生活している痕跡は全くなかったのが気になっていたの」
カイエンはハッとした。
「別荘地……確かに、ガス惑星で気体生物が誰もいない別荘なんか作るか?居たとしたら、洗脳された地上住民に見つからないように、隠れていたってことか?」
「その可能性が高いわよね。彼らは、テラの支配だけでなく、テラ崩壊後の混乱も恐れていたのかも……もしそうなら、彼らは銀河の歴史とテラが隠した秘密について、最も知っている存在かもしれないって思うの」
カイエンは、すぐに幼馴染のシズマに通信を送った。
「シズマ。すぐにリーフの地層と大気圏のデータを全て解析してくれ。気体生物が、洗脳された住民に見つからず、長期間隠れられる場所があるはずだ。テラが隠した真実を知るには、彼らに会うしかないんだ」
シズマからの通信は、一瞬の沈黙の後、強い決意を帯びて返ってきた。
「分かったよ、カイエン。彼らが隠れている場所は、このリーフを知り尽くした私にしか見つけられないさ。すぐに解析を始める……また連絡する!」
カイエンは操縦桿を握りしめた。
「次の厄介事がおきる前に、秘密を知るはずの奴らに会うぞ。よし、リーフへの短縮ルートで行くぞ!」
ドリフターは、惑星リヴを後にし、真実が隠された惑星リーフへと向けて、加速した。
(リヴ編)完




