第四話 液体生物の村
「待ちくたびれたよ~」
澄んだ水色の小さな液体生物の子どもが川の中から上がってきながらアクアたちに話しかけてきた。
長老が言うには、村の中では一番幼い子で、村全体で孫のように可愛がっているのだとか。その子の名前はキラリ。
「やれやれ……」と言いながらも、長老は目を細めている。
長老が立ち止まると、キラリが地面の上を時折ポチャポチャと音を立てながら……流れるように滑らかに近寄ってきた。液体生物独特の移動方法だ。そして液体生物は、液体生物独特の会話方法があるのだが、キラリもアクアと同じ振動波で話しかけてきた。
「ねぇ、どこから来たの?名前は何ていうの?君きれいな色だね。どうして浮かぶことが出来るの?…」
「あぁ、私は惑星エアから赤色矮星に行くはずだったんだけど、磁気嵐でこの星に途中下車させられちゃったんだ。名前はアクアだよ……」
『空港の液体生物さんや長老、キラリも振動波で会話?……色じゃなかったの?』
アクアは不思議に思いながらも、矢継ぎ早に話しかけてくるキラリに返答する。
彼女の返答が終わる前に、近くの家の中から、紺色の液体生物が部分的に赤や黄色に身体を点滅させながらやってくる。
紺色の液体生物がキラリに近づき、クルンとキラリを包みこんだ。包みこまれているキラリは中で赤色や黄色に激しく点滅している。
紺色の液体生物が長老に向かって、青色や白色をゆっくり点滅させた。長老も数回白色ので点滅した。紺色の液体生物は、激しく点滅を続けているキラリを包んだまま静かに家の中に戻っていった。長老が言うには、紺色の液体生物はキラリの母親で、
〈目を離した隙にキラリがいなくなっていました。お客さまでしたら、我が家にどうぞ。〉
と言ってキラリを抱きかかえていった、とのことだ。
「今日のところは、この家でゆっくりしなさい。明朝また会おう」
長老は、そう言うと川の中に入って、行ってしまった。仕方なくアクアはキラリの家にお邪魔するにした。
宇宙には、多種多様な生物がいる。あなたたちの星のように固体の身体を持つ生物。アクアのように気体で形成された身体を持つ気体生物。液体の身体をもつ液体生物。そして特に珍しいのは、身体を持たない意識体だけの生物も宇宙の何処かに存在するらしい。
それぞれの星の文化や環境に適応し進化を遂げてきた生物ばかりだ。もちろん、それぞれの文化や価値観の違いがある。たとえテレパシーで会話ができたとしても友好的な存在だとは判断できない。気体生物同士であっても、過去からの因縁や縄張り争いなどで敵対する事もあるくらいだ。はたして、この村は……




