第二十五話 協力者
イオの空港に戻ったアクアは、すぐにナギと作戦会議となる通信を始めた。
アクアが大地の種、古代のエネルギー変換プロセス、そして惑星リーフの重要性を伝えると、ナギは惑星エアでの調査結果を伝えてきた。
「アクア、あなたの手がかりは決定的な確信に迫るわね。私が図書館で解析した結果は、微粒子の合成品に関する古い化学式が、広範囲にわたって意図的に改ざんされていたの……しかも、改ざんされた部分は、あなたが言う大地の種の成分と酷似しているわ」
ナギは続けた。
「偽りの意識体(黒幕)は、微粒子の生命の力を恐れているだけじゃない……その力を増幅させる大地の種の存在と、リーフに託された記録の秘密を、きっと誰にも知られたくないのよ」
アクアは、地下の壁画とナギのデータが完全に一致したことで、確信を持てた。
『つまり、リーフに残された情報こそが、黒幕の弱点、あるいは微粒子の真の力を再び発動させる鍵になるはずだわ』
ファズも観測ドームからテレパシーで参加し、リーフへのルート構築をサポートした。
『リーフは長らく外部との接触を絶っています。慎重なアプローチが必要です。アクア、リーフに到着したら、まずはじめに私たちが提供するイオの認証コードを使ってください。あなたの身分を証明できますから』
『ありがとう、ファズ。認証コード……それで少しは信用してもらえるかしらね』
三者の情報と技術が一つになり、次の行動が明確になった。目的地は、惑星リーフだ。
アクアは、ナギとの通信を終え、空港で待機しているカイエンの宇宙船に向かった。
「リーフだと?また面倒な惑星を目的地に選びやがって……わざとか?」
カイエンは、相変わらず不機嫌そうな態度で宇宙船の船室から顔を出した。
「悪いわね、カイエン。でも、リーフにある情報が、この戦いを終わらせる鍵になりそうなの。それで……できるだけ早く……」
カイエンはアクアの言葉を遮り、腕を組んだ。
「リーフは知っている。あそこは、テラ支配下の航路を拒否している独立惑星だ。仕方ねえな、あそこには俺の昔の知り合いがいるんだ……面倒だが、お前が一人で降り立つよりは、俺が案内した方が話は早いだろうさ」
アクアは驚いた。カイエンが自ら同行を申し出るなど、予想外だった。
「どういうこと?あなたはナギをエアに送って、借りを返すだけじゃなかったの?」
カイエンはため息をついた。
「チッ。この宇宙船の借金は、テラの仕事で稼いで返しているのさ。テラが崩壊したら、俺の仕事も無くなるんだよ。俺の儲け話が続くように……さっさと偽りの意識体の支配を終わらせろ、ガス。それに……」
カイエンは少し声を落とした。
「リーフのヤツは、ちょっと厄介な秘密を握っている。お前みたいなヒョロヒョロのガス体じゃ、すぐに食い物にされるのが目に見えている。借りのついでだ。俺が船を停めて、案内人として同行してやる」
アクアは感謝の念を抱きつつ、カイエンの素直ではない優しさに笑みをこぼした。
カイエンの船は、再びイオのドックを離れた。
カイエンは操縦席に座り、航路をセットした。その航路は、テラ正規軍の監視網を巧妙に避ける……複雑な短縮ルートと通常航路の組み合わせだった。
「ナギからのデータと、ファズの認証コード、しっかり持っておけよ。リーフに着いたら、俺が先に交渉する。俺が合図するまで、絶対に宇宙船から出てくるなよ」
アクアは深く頷いた。イオの仲間と、遠くのナギ、そして隣にいる口の悪いカイエンと共に、黒幕の核心へ迫る……。




