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追放

 コルマが何かを言うらしい。その話を聞きつけて、俺たちは周囲の流れに沿うように演説台に向かった。多くの魔物が集まっており、明かりに照らされたコルマの姿はかなり遠い。

 「皆さんもご存知のように、今回の作戦は失敗しました。ナンミ=ヴァルが、我々の想像を超える力を持っていたからです。ですが、希望を捨ててはいけません。犠牲となった者たちの為にも必ず打開策を見出し、平和をもたらしてみせます。今は傷を癒やし、共に作り出しましょう。私たちが生きられる場所を!」

 中身があるとは言い難いが、気持ちを繋ぎ止めるにはすぐにでも何か言うべきと判断したのかも知れない。だが、その意思への疑問を示すように聴衆は沈黙を保っていた。

 「生きるだけなら、もう十分じゃ無いのか!?」

 誰かが声に出した疑問は、波紋のようにざわめきを広げる。

 「手を出さなきゃここでも暮らせるだろ!?もう奴に関わるな!」

 「まだ何か隠してたらどうする!?また犠牲を増やすのか!?」

 「これ以上やり合うなら、お前をリーダーとは認めない!」

 明確に示された脅威がもたらした不安が、戦意を完全に奪っている。

 「落ち着いて下さい!今はドンジーさんの協力もあって、人間が私たちを襲う可能性は低いです!ですが、それはいつまで続くかわかりません!魔物を危険視する声がある以上、我々の手で危険な魔物を倒し、共存出来ると示す必要があるのです!それを理解して、ナンミ=ヴァルの討伐を提案したのも、人間との協力を取り付けたのも全て私です!私以外の誰にリーダーが務まるのですか!?」

 「お前は皆にとって危険だ!ここから出ていけ!」

 議論とは言えない。大多数は黙っているか、ただ泣いている。だが、心が折れたばかりの魔物たちには、感情的な言葉が強く響いている。

 「私は…!」

 何かを探すように手を動かしていたが、喉がつかえたように言葉は続いてこない。当てもなく誰かを見ようとするように視線が泳ぐ。しばらく立ち尽くした後、コルマは肩を落としたまま、罵声に押し出されるようにその場を離れた。

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