表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

痕跡調査

 ギルドから北東部、山間の馬車道が今回の襲撃現場だ。最初に現場を調べた近隣の村の衛兵によると、足跡と証言から見て4人組だが、それ以外のめぼしい痕跡は無かったらしい。被害にあった御者の男の証言では、旅装束の男に村まで乗せてくれないかと話しかけられていたところで突然4人の男が襲ってきた。馬を走らせて逃げようとしたが混乱したように言うことを聞かず、そのまま御者台から蹴落とされて馬ごと盗まれてしまったそうだ。

 「馬に魔法を使っていたに違いない!と騒いでいたけど、どんな魔法かはわからなかったよ。」

 「ありがとうございます。念のため現場を見てからギルドへ報告しようと思います。」

 お礼を言って歩き出してすぐにミナが小声で話しかけてくる。

 「今から現場行くの?聞いた感じ痕跡も無さそうだし、もういいんじゃない?」

 「裏付けを取っておかないと報酬がもらえない場合があるから、一応ね。」

 「日、暮れちゃうよ?」

 「たいした距離じゃないんだ。さっさと行ってさっさと帰ろう。」

 「ハァ、わかったよ。」

 ダインが後押しをしてくれて助かった。2人揃って難色を示す前に向かってしまおう。俺は足早に現場へと歩き出した。


 聞いていた通り、現場に残っている痕跡はかなり少なかった。盗賊が逃げる時についたであろう深めの車輪の跡が無ければ、うっかり通り過ぎていたかも知れない。足跡を観察しながらも、魔法の痕跡を発見出来ていないことが気にかかってしまう。

 (今回、報酬削られそうだな…)

 諦めを見透かしたようにダインが話しかけて来る。

 「リオス、そろそろ良いんじゃないか?」

 「…そうだな。ここまでにしようか。」

 言いながら、1つの足跡が目に留まる。

 (なんでこの足跡は林に向かってるんだ?)

 衛兵が林まで調べたのかと思ったが、足跡が違う。それに他と比べて浅い感じだ。俺は衛兵の話に出て来た旅装束の男を思い出す。そう言えば、衛兵の話には旅装束の男の証言が無かった。襲撃に巻き込まれたにも関わらず衛兵と話していないと言うことは、辿り着く前に襲われたのか?

 「悪い、最後にこの足跡だけ調べさせてくれないか?」

 2人は顔を見合わせるとダインがやれやれといった風に手を挙げる。付き合わせるのは悪いと思うが、成果無しで帰りたくない。俺は足跡を辿り始めた。


 草木を分けながら歩を進めると、少し開けた場所に出た。足跡は原っぱを横切るように続いた後、1本の木の前で途切れている。

 (木に登って逃げようとしたのか?)

 旅装束の男が木の上で活かせる魔法を使えるとしたら、この開けた場所で追手の有無を確認しながら木に登り、逃げるか隠れるかした可能性はある。俺は木を見上げて、折れた枝が無いことを確認する。旅装束の男がその後どうなったのかはあまり重要では無い。争った痕跡が無いということは、盗賊の魔法の痕跡も無いということだ。盗賊の目的が馬車の強奪だったことを考えると当然だが、思わずため息をつく。

 (空振りか…)

 日の光に赤が混じり始めたのがわかる。これ以上の調査は無駄だ。俺は振り返って2人に声をかける。

 「ごめん。やっぱり何も見つからなかった。ここで切り上げよう。」

 2人は背を向けたまま返事をしない。確かに連れ回したのは悪かったが無視する程のことじゃ無いだろ。意外と狭量なんだな。そう考えたところでやっと、俺にもわかった。俺たちの見ている先に、誰かいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ