三浦誠司の妨害
「桜川マルシェ? ふざけるな。」
商工会の企画会議で、悠斗の提案を聞いた三浦は、一蹴した。
「イベントで人を集めたところで、商店街の衰退は変わらねぇよ。」
悠斗は、強く言い返した。
「やらなければ何も変わりません!」
「やったって何も変わらねぇよ。」
三浦は冷ややかに言った。
「一時的に人を集めても、また元の状態に戻るだけだ。そんなことをやるくらいなら、商工会として堅実な支援をしたほうがいい。」
悠斗は、拳を握りしめた。
「堅実な支援って、何ですか? ただ補助金を出して、見守るだけですか?」
「違う。商工会は、安定した経営をサポートする組織だ。お前みたいな理想論者が勝手なことをして、余計な混乱を招くのは迷惑なんだよ。」
「あなたは、それで満足なんですか!?」
「潰れる店は潰れる。それが現実だ。」
「そんなこと、誰が決めたんですか?」
三浦は、悠斗の目を見つめた。
会議が終わった後、悠斗はひとりで廊下に立っていた。
「……ダメなのかな。」
すると、横から声がした。
「森田くん。」
秋山真由だった。
「私は、森田くんの企画、いいと思うよ。」
悠斗は驚いて顔を上げた。
「でも、三浦さんが……」
「三浦さんは、きっと何か理由があるんだと思う。でも、それでも私は、森田くんが正しいと思う。」
秋山は、優しく言った。
「やろう。航太くんのためにも。」
悠斗は、力強く頷いた。