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ついに、桜川マルシェ開幕!

市役所の職員たちは、騒然とした現場を静かに見渡していた。

一時は中止命令も辞さない構えだったが——

三浦誠司が無言のまま立ち去ったことで、その空気は一変していた。


「……正式な許可はまだ下りていませんが、現時点で安全上の問題が確認されない限り、我々は静観することにします」


そう口にした担当者の目は、どこか敗北を認めるような揺らぎを見せていた。

職員たちは深くため息をつき、無言のまま会場を後にした。


「やった……!!」


秋山は思わず、こぼれ落ちる涙を袖でぬぐった。

隣で悠斗も、小さく拳を握りしめる。


そして——


「桜川マルシェ、開幕だ!!」


ついに響き渡った宣言の声。

その瞬間、商店街中に歓声が沸き起こった。


まるで空気が弾けるように、子どもたちの笑い声、店主たちの呼び込み、屋台の焼ける匂いと蒸気が一気にあたりを包み込む。


松田屋では、名物の特製おまんじゅうが次々と売れ、

「もっと買っておけばよかった!」と笑う客たちが列を作る。

田中八百屋の店先では、朝採れの野菜を買い求める人々が途切れることなく押し寄せ、

「おいおい、補充が追いつかねぇぞ!」と田中が汗だくで笑っていた。


店主たちの顔には、久しぶりに見る活気と誇りが宿っていた。


「見てよ、あれ……!」

「ほんとに、商店街が生き返ってる……!」


秋山は涙をこらえながら笑い、悠斗は胸いっぱいにその光景を焼きつけた。


これが——俺たちの商店街の未来だ。

再び、人が集まり、笑い合い、支え合う。

かつて失われた時間が、ようやく取り戻されようとしていた。



だが——その希望の絶頂は、長くは続かなかった。



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