商店街の決断——もう止まらない
悠斗は、すぐに商店街の人々を集め、状況を説明した。
「市役所から、許可の取り消しが出ました。」
「このままでは、桜川マルシェは開催できません。」
一瞬、静寂が訪れた。
しかし——
「……だから何だ?」
田中茂が、不敵に笑いながら言った。
「俺たちは、もうここまで来ちまったんだ。今さら後戻りなんてできねぇよ。」
松田屋の和夫もうなずいた。
「その通りだ。ここで諦めたら、また“どうせ無理だ”って雰囲気に逆戻りする。」
「俺たちは、もう諦めるつもりはないんだよ。」
「おい、どうするんだ?」
商店街の人々が、一斉に悠斗を見つめた。
「お前が、決めろ。」
悠斗は、一度目を閉じ、ゆっくり息を吐いた。
そして——
「……開催します。」
「たとえ許可がなくても、俺たちで桜川マルシェを成功させます!」
その言葉に、全員が歓声を上げた。
「おおおおお!!!」
「やるぞ!!」
「ここまできたら、もう止まらねぇ!!!」
商店街の団結は、ついに、最高潮に達した。
桜川マルシェ当日——最終決戦へ
ついに迎えた桜川マルシェ当日。
商店街には、朝から人々が集まり始めていた。
地元の飲食店が出す屋台の前には長蛇の列。
八百屋の新鮮な野菜が飛ぶように売れていく。
松田屋のまんじゅうも、早くも完売しそうな勢いだった。
「すごい……!」
航太は、目を輝かせていた。
「お父さん、商店街が生き返ったみたいだよ!」
「……ああ、本当に。」
その時だった。
「おい! 大変だ!!」
一人の店主が走ってきた。
「何があったんですか!?」
「市役所の職員が来てる!!イベントを中止しろって言ってる!!」
「な……!?」
悠斗が振り返ると、そこには——
市役所の職員と、そして三浦誠司の姿があった。
「やっぱり来たか……!」
三浦は、冷ややかに笑った。
「ここまで強行するとはな。お前のしぶとさには感心するよ。」
「でも、ここまでだ。」
「このままイベントを続ければ、法的に問題になる可能性がある。」
「中止しろ。」
悠斗は、三浦を睨みつけた。
「……中止はできません。」
「俺たちは、ここで止まるわけにはいかないんです!」
「桜川マルシェは、絶対に成功させます!!」
ついに——最後の戦いが始まる。