三浦の新たな策謀と悠斗の決断
夕暮れの空が茜色に染まり、心地よい風が街を吹き抜ける。
商店街の入り口には、来週に控えたイベントのポスターが何枚も貼られていた。
「いよいよだな。」
悠斗は感慨深げにポスターを見つめた。長い準備期間を経て、ようやくここまで来たのだ。
成功させるために、できることはすべてやったはずだった。
その時、ポケットのスマホが震えた。画面を見ると、市役所からの着信。
胸騒ぎを覚えながら通話ボタンを押す。
「申し訳ありませんが、このままではイベントの開催は難しいんです。」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
「なんで……!?」
嫌な予感が脳裏をよぎる。
「まさか、また三浦さんが……!?」
悠斗は秋山と顔を見合わせ、急いで市役所へと駆け込んだ。
しかし、担当者は困ったように首を振る。
「私たちも止めたくはないんですが、上からの指示がありまして……。」
悠斗の拳が震えた。
「またか……!」
プレイベント当日の朝。
許可が下りない以上、普通ならイベントは中止せざるを得ない。
しかし——
「俺たちは、もう後戻りできねぇよ。」
田中茂が、悠斗の肩を叩いた。
「森田くん、俺たちはどうすればいい?」
「このまま諦めるのか?」
悠斗は、迷っていた。
「……違法行為になるかもしれない。でも、これを止めたら、みんなの気持ちがまた折れてしまう……。」
そんな悠斗の背中を、秋山が押した。
「悠斗くん、決めるのはあなたよ。」
「でも、私は信じる。このイベントが、商店街にとって大事なものになるって。」
悠斗は、大きく息を吸った。そして、ゆっくりと答えた。
「……やろう。」
「この商店街のために、やろう!」