商工会の正式な不支持——突きつけられた現実
「森田、お前の桜川マルシェの件、商工会としては正式に“関与しない”と決定する。」
その言葉が会議室に響いた瞬間、悠斗は拳を握りしめた。
「なぜですか!? 商店街のみなさんは、やる気になっているんです!」
しかし、滝本は難しい表情を崩さなかった。
「……確かに、商店街の人々が前向きになり始めたのは事実だ。」
「だが、このイベントが成功する保証はどこにもない。もし失敗すれば、参加した事業者たちにさらなるダメージを与えることになる。」
悠斗は強く言い返した。
「だからこそ、商工会がサポートするべきじゃないんですか!?支援することで、商店街が一歩を踏み出せるんです!」
「商工会は、失敗ができないんだよ。」
その言葉を発したのは、三浦誠司だった。
「お前の言うことは、ただの理想論だ。もしこのイベントが赤字になったらどうする?店主たちが『やっぱり無理だった』と再び諦めたら?」
「お前の“情熱”は、結局のところ、ただの自己満足なんじゃないのか?」
悠斗は、悔しさを押し殺して睨みつけた。
「自己満足? そんなわけない……!」
しかし、滝本は、静かに言った。
「決定は覆らない。桜川マルシェには、商工会として一切の協力を行わない。」
悠斗は、言葉を失った。
商工会の支援なしで、果たして本当に成功させることができるのか——?
しかし、その時だった。
「森田くん、諦めないで。」
悠斗が驚いて振り返ると、そこには秋山真由の真剣な瞳があった。
「私たちでできることを、全力でやろう。」
「絶対に成功させよう。商店街のみんなのために!」
その言葉に、悠斗の心に再び火が灯った。
「商工会が動かなくても、俺たちがやるんだ。」
しかし——
この決定が、さらに大きな試練をもたらすことになるとは、この時の悠斗はまだ知らなかった。