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ただ生きている

作者: サメ吉次郎

今日、晩飯は何を食べようか

今日、この仕事をどこまで進めようか

今日、誘いを断るためにどんな嘘をつこうか

今日、自分にどこまで許そうか


毎日息をするがごとく何処かへ進んでいく体を持て余す


こなせている、ちゃんと働き、食べ、寝て、起きて、また働く

社会人として生きてる

ちゃんと独りで自分の面倒を見ている

誰にも迷惑をかけてない

税金を納めてるから役立ってるはずだ


そう

ただ 生きている


いつもは忘れているのに何故ふと気付くんだろう

いや

忘れてないから気付いてしまうんだ


これは 

心の

吐き出す息か

吸いすぎて吸いすぎて

苦しくなって押し出され

ここに何があるのか考えろと差し出される


無理無理

だって考えらんないから忘れるんだし

忘れたふりでも 気付かないふりでも

目を逸らして 耳をふさぎ 口を閉ざして

へらっと笑う


だから今日、何を食べるか考える

今日、酒を飲むかを考える

今日、ゲームをするかを考える

今日、誰にも会わない方法を考える

今日、眠りにつくかを考える

今日、今日、今日、



それだけを考える

毎日毎日今日だけを考える

それはそれは大事に大事に今日の事だけを考える


今日が平穏で無事ならば

人生は概ね幸せだ



今日、旨かったたい焼きの事を思い出す

今日、ガチャが最強だったことを思い出す

今日、夕焼けが綺麗だと思った

今日、美形の猫を見た

今日、ありがとうを一つもらった


今日、明日へ繋がる今日を過ごした


ありがとう


お疲れ様


じゃあ


また……











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