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【完結】悪逆王に嫁がされました……が、ただの強面で小声でしたの!?〜本当は優しい陛下の汚名返上したいのです〜  作者: 秋色mai @コミカライズ企画進行中
chapitreⅢ 陛下、私と一緒に踊ってくださいまし!

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38. 世界会議は踊りません



「では、アレッタ様はまだ王妃ではないのですね」


 あの馬車事件の後、(わたくし)も寝てしまって、起きた時にはもうすっかり日が落ちていた上にゲレヒミッテについていたのでした。中央諸国は小さい国が多いことが忘れていましたわ。二、三国を越えるのなんてあっという間でしたの。


「私の妹も、不仲な国へ嫁がされて酷い扱いを受けましたわ……。我が国はアレッタ様の味方です」


 それにしても驚きましたわ。会場には既に半数ほどの国が到着していて、ついた時から陛下には手続きが、私にはお茶会の誘いで明日の朝から予定がびっしりで休む暇もございませんの。

 ……それにしても煩わしいことこの上ないですわ。今日でこの流れは何回目かしら。


「何を勘違いなされいるのかは分かりませんが、お優しい陛下は私に国に慣れる時間を下さっただけですの。関係は至って良好ですわ」


 これだからお茶会なんて嫌ですの……。次期王妃としてそんなことは言っていられませんが。


「もし私が不仲だったとして味方とは……何をなさるつもりだったのでしょう?」


 昨日も今日もずーっと同じ話ばかり。人は違いますのに。今日は東の国の王女様だったかしら。

 まったく。グレイシャルを目障りだと思っている国が多すぎますわ。新しいのに軍事力を持った強国なんて確かに脅威の対象ですけれど。


「まさか。アレッタ様とお近づきになりたかっただけです」

「あら、嬉しいですわ。それなら蜂蜜入りの紅茶はいかが? 蜂蜜は我が国の特産品ですの」


 毎回毎回商売の話に切り替える私の身にもなってくださいまし、陛下。それもこれも陛下が強面で外交が下手だったせいですのよ!

 ……おかげで先日の陛下の奇行を思い出さなくて済んでいますが。


         *



「なんと、この時代にも聖女が!」

「ということはこれから厄災が起きるのか?」


 なんて耳障りなのだろう。

 あの長すぎる手続きを終えたと思えば、次々と会談を申し込まれ、アレッタ嬢と碌に会話もできないまま会議の日となってしまった。

 そしてこの阿鼻叫喚だ。


「聖女を保護したとして我が国は〜」


 しかも今年の議長がグローリアときた。自国の利権を貪ろうとしかしていない議長と、わけもわからず合わせてていたり、それを静観しつつ状況を見極めようとしている国々。こんなの今日だけで終わるわけがない……が、それは聖女が本物だった場合だ。

 どちらに転ぼうと、今夜の舞踏会で終わる。

 無意味な会議を鼻で笑いながら、フォーサイス公爵夫人からの手紙の内容を思い出した。

 

【拝啓 初夏の候、貴国のなお一層ご繁栄の事とお喜び申し上げます。

 さて、この度の手紙で申し上げたいのは、我が娘、アレッタ・フォーサイスについてです。

 表向きでは和睦の証としての嫁入りですが、実際はそうではありません。貴方様も知っての通り、実際は不当な理由で国外追放のような形で貴国に嫁いだのです。我が国を代表してお詫び申し上げますとともに、世界会議後の舞踏会にて、すべての告発を行うつもりです。娘には、内密にしていただけますと幸いです。

 どうか、お力添え賜りますようお願いします。敬具】


 二枚目に書かれた詳細は独自で調べたものと変わりがなく、より確かな証拠や作戦が並べられていた。俺の役目は、アレッタ嬢を世界会議につれてくることと、断罪中仕込みに徹すること。

 定型文の並べられた一枚目とは違い、文面からフォーサイス公爵夫人の怒りがひしと伝わってくるようだった。

 正直、俺が手を下したい気もあった。が、ここはフォーサイス夫人に任せることにした。まさか、この議題ごと吹き飛ばすような理由があったとは。


「〜であるからして」

「なんだと!?」

「我が国はどうなるんだ」


 時計の方を見れば、もうそろそろ終わる時間だ。長かった。有利だと思い込んでいるグローリアが会議を引き延ばすようなことはしないだろう。

 早く、終わらないだろうか。


         *


「ね、ねぇ、クロエ。私、ちゃんと似合っているかしら」

「珍しいですね、お嬢様が見目を心配するなんて」


 失礼な! まるで私がいつでも自分の容姿に自信満々なようじゃない! ……そうですけれども。

 舞踏会の時間は刻々と近づいてきていて、私はクロエにドレスを着せてもらっているのでした。


「大丈夫ですよ。よくお似合いです」

「本当ですの?」

「今嘘を言ってもしょうがないでしょう」


 薄い水色のエンパイアドレスは北国を思わせる。長袖で、ふわりとチュールの覗くスカートの裾には伝統的な模様が。胸元にはリボンと同じくタンザナイトのブローチが輝いていますの。最後に、上品かつ存在感のあるファーケープを羽織りまして。


「ヘアセットもメイクも終わりましたよ。鏡を見てみたらどうです?」


 もし、このドレスを着こなせていなかったらどうしましょう。次期王妃失格かしら。

 なんて私らしくなく少々怖気付きながらも、鏡の前に立ったのですが……。


「似合いますの」

「だから言ったでしょう?」


 過去一番美しいとも思える自分の姿に立ち尽くしていると、ドアをノックする音が聞こえましたの。


「アレッタ嬢、支度は済んだだろうか?」

「え、ええ。終わりましたの!」


 ガチャリとドアノブの回る音と同時にドアの方に振り向きますと、そこには岩化した陛下が。お久しぶりです岩化陛下。


「ど、どう、でしょうか?」

「……よく、似合っている」


 瞬間移動したのではと思うくらい素早く側に来た陛下は、息を吐くようにそう仰りますの。陛下もいつもよりフォーマルなお姿で、かっこよくて、私、気を抜けば卒倒してしまいそうですわ。


「誰にも見せたくないほどだ」


 高く鳴り止まない心臓を知ってか知らずか、耳の赤い陛下はそのまま私の手を取ってキスを。


「エスコートしてもいいだろうか?」

「ひゃ、ひゃいですの……」


 クロエ、メイクにチークは必要なかったかもしれませんわ。私、多分お顔が真っ赤ですの。


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