第一章 消えた第一皇子 その後と不穏な影
なんとか、襲撃を書き終えることができました。次回からはしばらく、まだ登場させていない人たちについて取り上げつつ、この後の流れの準備をしていこうと思います。
第一皇子バーベスクの襲撃についてその後も調査が進められたが、『闇ギルドが依頼されて襲撃を行った』ということしかわからなかった。
襲撃から3か月後、調査は終了し、以前からあった闇ギルド調査部が残りの調査を引き継ぐことになった。今回の襲撃に関して、帝国は強い危機感を感じ近衛騎士団の護衛体制が見直され、全200人程度だった人員は300人まで拡充されるなど、様々な対応がされた。しかし、皇帝のお膝元で、皇子が襲撃されたというのにほとんど何も分からなかったというのもまた、事実であった。
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「今回はやられましたね、父上。」
「ああ、まったくだ。我が皇都で我が息子が襲撃を受けたというのにわかったのは闇ギルドの犯行というだけ。屈辱的だな。」
「父上。あくまで、推測の域をでませんがすでに闇ギルドの連中は皇城に入り込んで居ると考えられます。」
「ほう、なぜそう考える?」
「襲撃は私がパーティーの為、必要最低限の護衛でいたときに起こりました。それから、馬車の中をよく確認もしていないのに私かどうか確認してきました。しかもあの日は一般の馬車に偽装したものを使っていました。このことから、この日、私が少数の護衛で外に出ることが漏れていると考えるのが自然かと。」
「なるほど、一理あるな。宰相や将軍といった信頼できる奴に警戒するようにいっておこう。」
「気をつけてください。私の予定がわかるということはかなり身分が高く、皇族に近い人間だと考えられます。」
「わかった。ただの杞憂で済むとよいのだが。」
「ええ、それが一番です。」
「話は終わりか?バーベスク。」
「ええ。」
「それならもう下がってよい。今の話も考慮して警戒網を強化しておく。」
「それでは失礼します。皇帝陛下」
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「第一皇子殿下、2つほどお伝えしたいことが。」
「なんだ?」
「最近、帝都で謎の失踪をするひとが増えています。」
「調査ははじまっているのか?」
「はい。皇帝陛下が動いています。ただ半月前ほどから動かれていますが、未だ何もわかっていません。」
「父上にしては珍しいな。」
「ええ。ですので今回報告しました。もうひとつは帝都の周りのモンスターの量が減っています。」
「減っている?増えるのではなく?」
「はい。ですがこの件に関しても、冒険者ギルドが動いており、殿下が動かれる必要はないと思われますが、前例のない事態なので、一応報告しました。」
「なるほど。最近の帝国は不穏だな。これからもそういったことに関しての情報収集を綿密に行なってくれ。」
「了解いたしました。」
バーベスクの襲撃をきっかけに帝国には巣食う影達は本格的に動き始めるのであった。
闇ギルドについて 帝国闇ギルド調査部の報告書より抜粋
今から10年ほど前から活動し始めた組織。大陸全域で活動が確認されており、各国で要人の殺害や危険薬物の栽培などの犯罪行為をお金で請け負っている。帝国でも8年前、当時の法務副大臣が殺害されている。このため、大陸各国で指名手配組織に指定しており、連携して捜査を進めているが、未だそのような組織があると言うことしか判明していない。