第一章 消えた第一皇子 兄弟との語らいと手がかり
前話からやっていますが、後書きにはこの世界について書いていきます。読み飛ばしてもらっても構いませんが、読んでおいてもらった方が本編が理解しやすいかもです。
「兄さん最近はどう?」
そうバーベスクに問いかけたのは第二皇子セストルだった。セストルはバーベスクと比べると、影が薄くなりがちだが、内政が得意な父ストールを凌ぐほどの内政能力を持っていた。そして2人は母が同じで仲が良いため、よく一緒にいた。
「最近は落ち着いてきたな。」
「つい最近まで兄さんは誕生日のお祝いで面会やら、パーティーやらに明け暮れていたもんねぇ。」
「ああ、やっと落ち着いて仕事ができる。」
「しかし、父さんが頑張ったとはいえ、まだまだこの国は無駄が多いよねぇ。」
「ああ、まだ戦乱期の名残りがあるな。」
「ところで、兄さん見てほしい書類があるんだけど。」
「ん、なんだ?」
「この資料なんかおかしいと思わない?」
「少し読ませてくれ。」
「ああ、確かに何かおかしいな。」
「でしょーだから少し調査してみたら、不審なお金、物の動きがあったんだよ。」
「そういえば最近俺のところにもおかしな資料があったな。」
「そうなの!?」
「ああ、でもその後親バカ親父が突撃してきて、すっかり忘れていた。」
「あの人無駄なことしかしないねぇ。」
「そうだな・・・。話が逸れてしまったが、この件に関しては俺の方でも調査をする。引き続きそっちでも調査をしてくれ。」
「りょーかい。しかしこの件は厄介なことになりそうだねぇ。」
「ああ、勘弁してほしいものだ。」
「相変わらずあの兄弟が揃うと厄介極まりないデスねぇ。やはり、ここは手っ取り早くあの方法をとるとしましょうか。上手くいくといいのデスガ。まあとりあえず彼等に連絡するとしましょうかねぇ。」
神創教について
神創教は世界を作ったとされる8つの神を崇める宗教である。この世界で最もメジャーな宗教である。いくつかの派閥に分かれており、世界的にはマリア派と呼ばれる派閥が主流である。しかし、帝国では新解派と呼ばれる派閥が主流である。これは帝国が他の国々よりも比較的新しい国家であることが大きく影響している。新解派は神創教の教えを現代に即した形に捉え直すことでより良い神創教を作るという極めて革新的な派閥である為、昔からの教えを守り、受け継ぐマリア派と裏では対立している。なぜ表向きには対立していないかというと、新解派は本格的に帝国以外の国に布教しようとは考えていないため、他派閥に手を出そうとしていないためで、マリア派は新解派にもたらされる帝国からの豊富な資金に恐れている為である。なお、神創教は異教徒を排除する教えはないため、他宗教との対立はあまりないが教主の選挙や派閥間での対立はよくある。神創教の本拠地は宗教国家メドリスであり、教会が政治も行っており教主が国のトップの役割も果たす。
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