第一章 消えた第一皇子 混乱の予兆
当分は不定期投稿になると思います。ご了承下さい。
帝国歴284年農神月42日火曜日
「うーん、何か違和感を感じる。でもそれは違和感以上のものでもない、、、 どうするべきだろうか。」
幼い頃から文武両道の天才と持て囃されてきたゼーストリア帝国第一皇子バーベスク・フォン・ゼーストリアは2ヶ月前に18歳となり、本格的に国政に関わっていた。そんなバーベスクは以前からときどき感じる書類の違和感を疑問におもっていた。
「やはり、もう少し本格的に調査をした方がいいだろう。この違和感は放置してはいけない気がする。」
この決断が後に帝国動乱と呼ばれる大事件に繋がるのだが、それはまだ少し先のお話。
「バーベスク!、バーベスクは居るか?」
バーベスクを呼ぶこの人こそが第十八代皇帝ストール・フォンゼーストリア、バーベスクの父である。このストールは第十六代、十七代皇帝の時の第3次戦乱期にて傾きかけた帝国の財政を建て直し、さらに貿易や新たな産業を起こすことで、過去1番の繁栄の時作り上げた。そのため、人々からは賢帝として讃えられていた。
「おお、おったおった。今日も一段と良い顔つきじゃのう。」
しかし、賢帝と讃えられる彼は子煩悩な父親でもあり、息子、娘たちを溺愛していた。
「父上、今は政務の時間では?」
「少しぐらいいいじゃろう。わしの子供達への愛に比べれば、政務など細事じゃ。」
「はあ、そうですか。」
「皇帝陛下ー、皇帝陛下ー、どこですかー?」
「む、もう来よったか、大臣ども。わしの至福の時間を邪魔しおって。」
「まあ、そりゃ今は政務の時間ですからね。」
「皇帝陛下、ここにいらっしゃいましたか、息子さんの邪魔をしないでください。あと、相談したいことが山ほどあるので、はやく執務室に来てください。」
「い、嫌じゃ、今日はバーベスクと一緒に過ごすんじゃ。」
「はいはい、分かりましたから。はやくいきますよ。」
「い、嫌じゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ふぅ。まるで嵐のような人だな。さて、今の書類の続きをしようか。」
「うーん、計画は予定通り進んでいますねぇ。まあ、ワタシが関わっている時点でそうそう見破られることはないとおもいますガ。しかし、あの第一皇子が邪魔ですねぇ。あの人が今回の計画の一番の障害デス。ワタシが紛れ込ませた書類の一部にも違和感を感じているようですシ。なんとかして排除しなけれバ。」
皇城のある部屋で悪もまた動き出す、、、
暦について
帝国で使われる帝国歴は帝国が誕生した時から数えて何年目かを表している。一年は365日で閏年はなく、1日は24時間である。しかし、月は8つで戦神月、農神月、技神月、商売神月、生命神月、魔神月、大地神月、創造神月となっている。これは国教の神創教が定めている8つの神からきめられた。また1週間は9日で、曜日は火、水、自然、土、治癒、光、闇、活性、呪である。これは最もメジャーな9つのマナからきめられている。一ヶ月は45か46日である。
バーベスクが生まれたのは帝国歴266年創造神月25日光曜日である。