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最強の能力を貰ったら、もれなく有名になると死ぬ呪いも付与された。  作者: 雲州みかん
五章・そうだ! 世直しをしよう!
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そうだ! 世直しをしよう!(7)

 結果的に待ちぼうけと言う形を取っていた雄太・亜明の二人は、手続きを完了させて戻って来るだろうリリアを待ちつつ、珍妙な押し問答を続けていた。

 押し問答のお代は、ズバリ今後の自分達である。

 雄太的には、次のクエストをリリアと一緒に引き受けるに一票。

 前回はそのまま居なくなってくれたが……なんらかの弾みでリリアへと危害を加える事になった場合……超高確率でリリアの命はないだろう。

 これらを加味すれば、ここでリリアを見捨てる様な行動など雄太に出来る筈がなかった。

 他方の亜明は、リリアとの仕事を引き受けない方向で過ごす事に一票!

 そもそもの話、亜明の感覚で行けばリリアは赤の他人である。

 この世界へと来た時に多少お世話になったかも知れないが、その程度の関係だ。

 自称妹の亜明も、雄太の視点からすれば十分赤の他人だったけど、亜明の言い分は決して間違いではない。

 何より、亜明が特に強く主張したいのは、これだけではなかった。

 リリアが超有名人である……と、言う部分。

 亜明としてはこの一点が重大にして致命的だと考えている。

 今は魔法で姿を変えたり、色々と上手く誤魔化してはいるが……これがいつまでも続くとは思えない。

 いつ、何処で、どんな風にパパラッチが特ダネをすっぱ抜くか分からないのが現状だ。

 そして、何より……曲がりなりにも色々と悶着があり、可能性的には隕石が降って来るよりも低くても(亜明の原文ママ)極めて超遺憾な事に結婚なんて事になったら、雄太の命は確実にない!

 今のなんちゃって恋人(妹は未承認)な状態ですら、雄太の命は極めて危険だと言うのに、法的な婚姻を結ぶとなれば流石に公表しないわけにもいかない!

 お相手は一般男性的な形で名前を伏せるにしても、やっぱり雄太が浮上して来る可能性はあるし、噂になるのは間違いない。

 ポイントは、この噂になる部分。

 名前は知らなくても「リリアの旦那!」と言う、雄太を指しているんだろう噂が立つのは必然だ。

 この時、果たして雄太の命はちゃんと健在しているのだろうか?

 呪いの内容が「有名になったら死ぬ」とか言う、実に曖昧な表現だけに、実際はどうなるのか未知数過ぎて笑えない。

 だから亜明は言いたいのだ。

 そんな危険な女に手を出すんじゃないよ!……と。

 亜明と一緒にいる分には問題ないし、妹のクセして結婚したい気持ちが抑えられない様だが……そこは百万歩譲って結婚したとしても、雄太が死ぬ事はない。

 世間的に言うのなら、無名の一般人同士が結婚した程度で騒ぐ訳がなく、良いトコ「結婚しました!」って感じのツイート入れて、極々一部のツイート仲間から「おめでとうございます!」って返事を貰う程度だろう。

 そして、この世界にはツイッターもなかった。

 つまるに有名になる要素なんて何処にもないのだ!

 これらを加味するのなら、リリアと別れを告げて遠い遠い外国まで旅に出て、安住の地を見付けたら亜明と一緒に暖かな団らんを作れば雄太も死なないし、亜明も幸せ!

 特に亜明は、想像するだけで鼻血が出ちゃうレベルで幸せ!

 よって、亜明は総合的な判断として、雄太に物を申したい!

「お兄様、良いですか? お兄様を最高に幸せに出来るのは私だけなのですよ? 赤髪の英雄様とか言う御高名スペシャルな偉人は、それ相応の殿方とテキトーやってくれれば良いのです。私の様な善良な一般の民間人でなければお兄様に明日はありません! だって死ぬんですからね? 真面目に! よって私は断言します! リリアとか言う悪魔に鉄槌を!……はぎゃぁっ!」

 選挙カーの応援演説張りの語気で声高にまくしたてていた亜明は、間もなく巨大な鋼鉄ハンマーを脳天から喰らって悲鳴を上げていた。

 鉄槌を下すと言った三秒後に鉄槌を下されていた。

 比喩ではなく、物理的に下されていた。

 そして下したのは、青い長髪の女性……魔法によって姿を変えたリリアだった。

「すまん、待たせたな?」

「待ちましたよ! ええ! 凄く待ちました!……が、それよりなにより、あなたが言うべき事は無駄に鉄槌を下した事ではありませんか? 痛いんですよ! 凄く!」

「そうか、居たいか? じゃ、お前はそこで待機してろ」

「漢字が違いますから! アホですかあなたは!」

 しれっと憎まれ口を叩くリリアに、亜明は顔を真っ赤にして喚き声を上げていた。

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