表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の能力を貰ったら、もれなく有名になると死ぬ呪いも付与された。  作者: 雲州みかん
四章 そうだ! クエストを受注しよう!
82/178

そうだ! クエストを受注しよう!(14)

「これは、昼飯を食ってる場合ではなくなったみたいだな……」

 一連の流れを見て、リリアはいつになく神妙な顔を作って答えた。

 でも、内心は「よぉぉぉし! これで自称妹の弁当自慢をされずに済むぜぇ! ヒャッハー!」とか思ってた。

「いえ違いますわ……ここは一時撤退し、私の作ったお弁当を食してから再度相手の出方を伺いましょう」

 そして亜明もまた、至って真剣な顔をして慎重論を促してみせる。

 でも、内心は「ふざけるんじゃありませんわ! お兄様との憩いの時間を楽しみにしていた私の気持ちを何だと思っているの?」とかって考えながら、はらわたを煮えくり返していた。

 そうこうしている内に、武装が終了していた盗賊の一人が素早く雄太達を発見する。

「いたぞ! 賊は三人! 男一人と女二人だ!」

 盗賊のクセして相手を賊呼ばわりしてた。

 本当にこの人達は盗賊なんだろうか? 

 やたら統率の取れた動きは、どう考えても盗賊のそれではない。

 諜報部隊を速やかに編成している組織力からしておかしいのだが、発見されて間もなく……カップ麺が出来るよりも早い勢いで雄太達の前にやって来ては、ぐるりと周囲を包囲する手際の良さを加味しても、明らかに盗賊の動きとは思えなかった。

「貴様ら! 何者だ!」


 ドォォォォォォォンッッ!


 雄太達三人を囲んだ盗賊の一人が厳格な声音で尋ねた瞬間、その返事とばかりに周囲が爆発した。

 三人を中軸とした爆発だったが、不思議と爆心地とも言える雄太と亜明の二人には、そよ風すらも当たらない。

 そうだと言うのに、周囲を囲っていた盗賊達は一切の例外なく吹き飛んで行く。

 果たして。

「このぉぉ! 自称妹ぉぉぉ! あたしまで飛ばしやがってぇぇぇっ!」

 ついでにリリアまで吹き飛ばしていた。

 きっと腹いせでやったに違いない。

「さぁ、お兄様。ここは危険です。早く安全な所へ避難致しましょう!」

「うん、お兄様としては、一番危険な存在と一緒に逃げる事になりそうな気がして仕方ないよ」

「何をおっしゃいますのお兄様! 先程ご覧になったでしょう? あの様な下郎達が徒党を組んで襲って来るのです!……一刻も早くお弁当を食べるべきです!」

 言うなり亜明は「くわわっ!」って感じの勢いで右手コブシをギュッ!……っと握りしめ、左手に持っているバスケットから弁当を取り出そうとしていた。

 危険だから避難するんじゃなかったのだろうか?

「今の爆発はここかっ!」


 ドォォォォォォォンッッ!


 直後、別の盗賊に発見されたんだけど、叫んだ三秒後に爆発していた。

「お兄様……私、怖い」

「お兄様は妹の方が怖いと思ってるよ」

「安心なさって! お兄様が爆発する事はありませんわ! 浮気をしない限りは!」

 どうやら浮気(?)がバレたら爆死するらしい。

 雄太の危機感が一段階上がった。

「ああ……どうしましょう」

「本当にどうした物かな」

「私……私……今、ここでご飯を食べないと爆発する病気に掛かりそうで怖いわ!」

「よしお昼にするか!」

 瞳をウルウルしながら上目遣いで答える亜明に、雄太はバケツ一杯分の冷や汗を流しながら叫んだ。

 きっと、ここで首を縦に振らなかったのなら、亜明は衝動的に爆発するのだろう。

 比喩でもなんでもなく、物理的に大爆発するのだろう。

 ハッキリ言って冗談ではなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ