表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の能力を貰ったら、もれなく有名になると死ぬ呪いも付与された。  作者: 雲州みかん
三章・そうだ! ダンジョン攻略をしよう!
63/178

そうだ! ダンジョン攻略をしよう!(19)

 ゼルスは、邪神召喚をするに当たって必要となる人間の魂を補填する為、自らの命を絶った。

 つまるに、彼の胸に刺さっていたナイフは、彼本人が自分の意思で刺した物。

 復讐を果たす代償として、ゼルスは自分の命を担保にしていたのであった。

「馬鹿だよ……ゼルス……本当に……アンタは、馬鹿だ……ぅぅぅ……」

 絶命した彼の上半身をひたすら抱きしめ、ミルは泣きじゃくりながらも憐憫の言霊を吐き出す。

 ゼルスの目的は最初から分かっていた。

 全力で止めるつもりでもいた。

 しかしながら、ここに来ている建前上は「雄太の特別採用試験」をアシストする冒険者。

 更に言うのなら、ゼルスが邪神を復活させると言う部分も隠して置く必要があった。

 邪神復活の情報は、冒険者協会でもある程度までは掴めていたのだが、確証に当たるだろう決定的な情報までは掴めていなかった。

 言うなれば、邪神復活をしていると言う決定的な証拠が不足していたのだ。

 結果、最後の行動に移る所までゼルスを泳がせ、決定的な証拠を得た時に、全力で彼の暴挙を止めようとしていたのだった。

 ……だが、しかし。

 結局は、彼を泳がせていた事、その物が完全なる裏目に出てしまう顛末へと繋がってしまった。

 かくして、人生のどん底を味わった一人の冒険者は、最愛の女性に底なしの哀憫を与えつつも、この世を去った。


 






 もう、マジでどうなってんの? いや、可愛い妹とか欲しい時が一時期あったけど、出て来るにしたって三十年ぐらい遅くないか!

 ……とか考える、元・万年平社員(45)が一人。

 滅茶苦茶強い能力を貰ったは良いんだけど、有名になると死んじゃう残念な冒険者こと雄太は、頭の中で色々とグルグル考える。

 ……あれから、雄太は無事に(?)ダンジョンからの帰還を果たしていた。

 無事の隣にハテナを付けたのは他でもない。

 一応、ダンジョン攻略と言うか、特別採用試験のダンジョン「アフリトの審判」のクリア条件だけはしっかり果たしていた。

 雄太の右腕にしがみ付いた状態で、時折「お兄様……ああ、お兄様ぁ……」と、夢見る乙女調の声音で、周囲に大きなハートマークをふわふわさせながら、顔をほんのり紅色に染めつつも、気分によっては雄太の右肩辺りを頬擦りして来る謎の美少女により、ダンジョンは秒で終了していたりもする。

 どう言う事か?

 一部始終を話そう。

 黒髪の美少女は、雄太の右腕をキープした状態のまま女神像をむんずと掴むと、間もなくアフリト召喚。

 そして大爆発。

 恐らく強烈な爆破魔法を、黒髪の美少女が放ったのだろう。

 この一撃でアフリトは消滅した。

 まさに衝撃的な瞬間である。

 流石は邪神と呼ばれるだけの存在だった。

 唯一の汚点は、お兄様(?)大好き美少女な点ぐらいだろうか?

 なんにせよ、アフリトの審判を受けるまでもなく、邪神と呼ばれる黒髪の美少女が文字通りの秒殺かましてしまった結果、なし崩し的にクエストは終了してしまった。

 果たして「お兄様大好き邪神」とか言う、大いなる謎を残しつつ、雄太の特別採用試験は終了して行くのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ