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最強の能力を貰ったら、もれなく有名になると死ぬ呪いも付与された。  作者: 雲州みかん
六章・そうだ! これはスカウトだ!
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そうだ! これはスカウトだ!(22)

「非常事態?」

 雄太は口をへの字にしてしまう。

 ハッキリ言って何を言ってるのかサッパリ分からなかった。

「そうだな……確かに説明をしてなかった」

 どうにも謎でしかないと言わんばかりな顔をしていた雄太と、やっぱり似たり寄ったりな表情を色濃く作るセシアの二人を見た所で、レンは納得交じりの声音を吐き出す。

 そこから少し考える様な仕草を見せてから、再び口を開いた。

「お前達風の言葉で言うのなら……邪神が来る。それも極めてレベルの高い……俺程度ではどうする事も出来ない様な凶悪な奴が、だ」

「………は?」

 レンの言葉に、雄太はポカンとなってしまう。

 彼の実力は知っている。

 雄太と亜明の二人をアッサリとノックアウトさせてしまうまでの実力を誇示している。

 実際問題、反則級じゃないか?……なんて台詞を、嘯き加減に吐き出したい雄太がいる程度には、とんでもない能力を保持している存在だ。

 だが、それだけアホみたいな実力を誇るレンですら「俺程度ではどうする事も出来ない」と言っているのだから、

「どんだけ凄いのが来るんだよ……」

「ああ……本当にな。俺が知る限り、この世界を創った奴と同程度の実力があると思っているよ」

「滅茶苦茶過ぎないか!」

 レンの言葉に、雄太はツッコミ半分の口調で驚いてみせる。

「問題はな?……その凶悪な邪神が、お前を狙ってると言う事だ」

「………何故っ!」 

 神妙な面持ちで言うレンに、雄太は思い切りビビりながらも叫んでしまった。

 ハッキリ言って、何故狙われるのか?

 全く以て面識もない邪神だと言うのに、どうしてそんな事になってしまうと言うのだろうか?

「理由か……シンプルに言えば、リリア姉さんだな」

「リリアが? どうして!」

 少し考える仕草を作りながらも言うレンに、雄太は眉を大きく釣り上げて叫んだ。

 顔も合わせた事もない謎の邪神に恨まれているらしい……と言うだけで、雄太としては不本意極まりないと言うのに、この上リリアまで巻き込む事がどうしても許せない!

「アンタに付きまとう自称・妹がいるだろ? あれは「本当の意味で妹」に値するんだ。厳密に言うのなら同じ思考……あんた風に言うのなら同じ魂から分離された物だ。そして、リリア姉さんと俺が言っているのは「同じ理由で弟」だからだ」

「……なぬ?」

 レンの言葉に、雄太は眉を顰めた。

 言ってる事が全く解せない。

 否、納得の行く台詞とは程遠い……程遠いのだが。

「つまり、お前とリリアは「どこかの世界では姉弟だった」と言う事か?」

「今でも姉弟ではあるよ……ただ、今の姉さんは「人間をしてるから分からない」だけだ」

 雄太の問いにそうと答えると、間もなく苦々しい顔になってから雄太を指差して……答えた。

「あんたのせいでな!」

「……俺のせい?」

 憎々しく答えたレンに……雄太は眉根を捩って答える。

 全く身に覚えのない台詞にしか聞こえなかった。

 しかし、その反面。

「なんだろう……この気持ちは」

 雄太は誰に言う訳でもなく呟いた。

 不思議と腑に落ちてしまう。

 あり得ない思考が……何故かある。

 

 俺のせいでリリアは「二周目の人間」をしている。


「……なんだってんだよ、これ」

 雄太は独りごちた。

 途中、近くにいたセシアが雄太へと「それって、どう言う意味なの?」と言う様な言葉を口にしていたのだが……耳に入れる余裕がなくなっていた。

 全く予期しない……分かる筈もない何かが、頭の中で訴えていた。

 そして……レンの言葉に同調していた。

 果たして。

「アンタは罪深いんだよ……どれだけリリア姉さんを振り回すんだ? 馬鹿過ぎるだろ?……そもそも、違う宇宙を生きる宇宙意思のクセに、別の宇宙まで来て……必要もない、意味もない、全て無意味な事をして……ふざけんな!」

「………」

 一方的になじられる……挙句、意味不明な理由から一方通行の罵詈雑言を受けていた雄太は、しかし反論する事なく無言のまま佇んでいた。

 訳が分からない。

 何を言ってるのか分からない。

 少なからず、自分の記憶には塵も芥も存在しない言葉ばかりだ。

 それなのに、そうだと言うのに。


 涙が、出た。


 ある筈のない罪の意識だけが、雄太の中に生まれた。

 果たして、雄太は言った。

「……ごめん」

 どうしてそうなるのか? 何故自分が? どうして? なんでだ!

 全く根拠もない、悪い訳がない、やった覚えがない!

 知らない、知らない、知らない!

 心の中で連呼したくなる。

 それでも……魂が言った。


 スベテ……オレガワルイ。


「くそぉぉぉぉぉぉっ!」

 雄太は四つん這いになって叫んだ!

「何? なにがどうなってるの!」

 突発的に悲観的な喚きを上げる雄太に驚きながら心配するセシアがいる中、

「……もう少し早く気付けよ……クソが」

 レンは苦々しい顔のまま、今にも唾を吐きそうな勢いで雄太を凝視していた。

 ……と言う所で、今回はここまで!

 次回に続く。



 ~to be contenued~


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