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最強の能力を貰ったら、もれなく有名になると死ぬ呪いも付与された。  作者: 雲州みかん
六章・そうだ! これはスカウトだ!
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そうだ! これはスカウトだ!(13)

「だから、色々考えてるんですよ! 例えば? B・ホルダーで胸を押さえようとしたり? アンダーシャツとしてキャミソールを着て胸をなるべく動かない様にしてみたり、ブラの前にヌーブラ入れたり……とにかく、通常時は余り胸元を強調させない……むしろ、そっちに意識が向かない努力をしてるんです! 私の胸が大きい事実を知り、魅力を知って欲しい殿方はお兄様だけなので、他の男から好奇の視線を胸元に注がれると気持ち悪くて仕方ないんです! 背中に毛虫でも入れられたかのような怖気が走るんです! よって、わざわざ小さく見せてるんです!」

 亜明は自分の心情をこれでもかと言うばかりに悲痛めいた声音で口にする。

 余談だが、B・ホルダーはペチャンコになり過ぎるので、基本は使ってなかった。

「こんな気持ち……あなたには分からないでしょう?……ええ、そうでしょうね? うっかり身体にフィットするセパレートタイプの水着を買ったら胸元がカップになってて、人差し指で胸の部分を押すと水着がへこむ……まさにへこみ胸の持ち主たるアナタには分からない悩みだとは思います!」

「そこまで行ってないわぁぁっっ!」

 更に言葉を続けた亜明の言葉に、銀髪の少女は猛然と吐き捨てる様に喚き返した。

「ちなみに、私の胸もへこみますよ? 普通に人差し指を胸のトップ部分を押せばへこみます。ちゃんと中身が……こうぅ、人差し指の第一関節程度はめり込むかと?」

「いつまで胸の話をしてるんだよ、お前はぁぁぁぁっっ!」

 更に生々しい台詞を地味に語って来る亜明がいた所で、銀髪の少女が顔を真っ赤にしたままがなり声を上げて来た。

 ある意味正論であろう……元来は、胸の話をしている場合ではない。

 だからと言うのも変な話ではあったのだが、そこで亜明は神妙な面持ちに変わってから銀髪の少女へと答えた。

「そうですね……では、真面目な話をしましょう? 結論だけを言います。個人的には極めて遺憾ではございますが、リリアをアナタ達にお渡しする事は叶いません。ここでリリアを引き渡せば、確実にお兄様は暴走します。私の意思を振り切って」

 顔を引き締めた状態で言う亜明がいた所で、リリアはハッとなる。

 直後、リリアは近くで自分の頭を撫でていた雄太へと視線を向けた。

 雄太はちょっと苦笑した顔になった後、軽く頷いてみせた。

 つまるに、亜明が正しいと言っていた。

「お兄様が暴走すれば……まぁ、最低限言える事は、アナタ達もただでは済まないでしょう。良くて病院送り、悪ければ死にます。これは確定ですね」

 言いながら、亜明は好戦的な笑みを色濃く作る。

 その視線の先にいるのは、銀髪の少女と青年……ジンの二人だ。

「………」

 銀髪の少女は無言だ。

 亜明の台詞を単なるハッタリだと言う事は容易い。

 しかし、そうと決めつける事も出来ない。

 理由は割と簡素な物だ。

 亜明が言う「お兄様」とやらの実力がどの程度なのかまでは分からなかったが……眼前にいる亜明の実力は人外級に高いと言う事が理解出来たからだ。

 事実……銀髪の少女は、亜明からやって来るだろう計り知れない魔力を、曖昧ながらも感じ取っていた。

 曖昧と述べたのは他でもない。

 正確には、どの程度なのかが分からなかった。

 今の亜明は全力で魔力を使っていない為、彼女の中に存在しているだろう魔導力をしっかりと感じる事が出来なかったのだ。

 きっと、亜明が本気でなんらかの魔法を発動しようとすれば、彼女の実力を知る事が出来るのかも知れないが……至って平常運転と言えた亜明からは、真の実力を感じるまでには至らない。

 しかしながら……やはり深淵の底が垣間見える亜明の魔力は朧気ながらも感じる事が可能で……確実に自分の実力を大幅に凌駕している事も分かる。

 それだけに銀髪の少女は思った。

 亜明を敵に回すのは下策極まると。

 場合によっては自殺行為にすらなりかねない……と。

 そして、お兄様とやらの実力が、眼前にいる計り知れない魔導量を持つ亜明と同等か、それ以上であった場合……自分を危惧するばかりでは終わらない。

 場合によっては、リル公爵家その物が潰されかねない騒動へと発展する危険性があった。

 流石に帝国が滅亡するまでは至らないだろうが……一部地域が荒野と化す可能性は十二分に存在していた。

 けれど……でも。

 それだけの能力がある……否、あるからこそ銀髪の少女としても後には引けない。

「あのさ……こんな事をアンタ達に言うのはお門違いとは思う? 思うよ? けれど、西側の人間は不安なんだよ。東大陸に武力が集中してる今が」

 銀髪の少女は、極めて真剣な面持ちで口を動かして行った。

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