そうだ! 世直しをしよう!(30)
この会談に応じた皇帝により、これまでの情勢が一変した。
ここにはルフレ第二王女も大きく貢献する事となる。
周辺国や周辺地域に絶大なる支持を持つナーザスであっても、所詮は一介の領主に過ぎなかったからだ。
三国の当主である皇帝へと直談判する様な真似をするのは、余りにも厚かましい。
世間体を考慮するのであれば、単なる領主が皇帝に意見をする……ではダメなのだ。
では、どうしたか?
プラム国家元首が直談判をした……と言う形にすれば良い。
皇帝に意見出来る王族のトップとなれば、都合上それなりに自然であり、まだ筋が通っている。
少なからず、単なる領主が皇帝に意見するのとは、また大きく話が変わっていた。
この国家元首……現プラム王にお願いをしたのが、娘であるルフレ第二王女だった。
ルフレは大きく変わった。
これまであったツンデレ王女の姿は、もうそこには居ない。
単純に純粋に、レーミン公爵の旦那として日々を謳歌している。
今では笑顔が絶えない、幸せそうな貴婦人として天然おねーさんと化している。
それが計算なのか素なのかは謎だ。
閑話休題。
ルフレは変わった。
あるいは、こっちの彼女こそが本来の姿なのかも知れない。
素直になれと言われた旦那の希望通りの姿……なのかも知れないからだ。
どちらにせよ、かつてのツンデレ王女は角々しさがクライマックスしており、眉間の皺が取れなくなってしまうのではないか? と、無駄な心配をしてしまうまでにしかめっ面をしていた。
所がどうだろう?
結婚後のルフレは、いつもほわほわっとした陽気なお姉さんへと激変していた。
それは妹であるセシアが「え? お姉ちゃん……なんか変なの食べた? 実は変な薬盛られたとか?」なんて台詞を超絶真剣な顔して言った三秒後に、履いていたハイヒールでスパコーンッ! と殴られてしまう程度にはビフォーアフターしてた。
その後、三人の子宝に恵まれた彼女は、公爵夫人でありながらも給仕に任せず自分の手で子供を育て上げ、終始微笑みの絶えない生き方をする事になるのだが……後日談程度にして置こう。
話しを戻そう。
皇帝が会談に応じた事により、帝国と周辺国に歴史的な政変が訪れた。
他国や周辺地域にあった不平等な取り決めが撤廃または段階的な見直しが施され、苦しい小国には帝国が支援する話も生まれた。
時間は掛かるかも知れないが、世の中は少しずつ……けれど、確かに良い方向へとベクトルを傾ける事に成功した模様だ。
かくして、帝国及び周辺国の世直しが始まる事となるのだった。
……と言う所で、今回はここまで!
次回に続く!
~to be continued~