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最強の能力を貰ったら、もれなく有名になると死ぬ呪いも付与された。  作者: 雲州みかん
五章・そうだ! 世直しをしよう!
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そうだ! 世直しをしよう!(22)

「ナーザスも呼ばれたのね? あの腐れ姉さんに」

「まぁ、そんなトコ……で、セシアがここに来てる事で理解した」

「理解?……どう言う事?」

 穏やかな雰囲気が自然と生まれて行く中、やんわりと笑みを作った状態で言うセシアに、ナーザスもまた笑みのまま声を返して行く。

 そんな彼の言葉を耳にして、セシアの頭上にハテナマークが生まれた。

「うーん……そうだなぁ。ルフレの戦いは、魔王が復活したけど倒されて、邪神が復活したけど戦う事すらなく仲間になってしまった時点で「終わっていた」んじゃないかな……って、予測が当たっていた事を理解した……そんな所かな?」

「??? 余計分からなくなったんだけど……?」

 少し考える様な仕草をしながらも答えるナーザスを前に、セシアは更に謎が深まった顔を作ってしまった。

 すると、ナーザスは微笑みを強めてから声を返した。

「ルフレはツンデレだからね。とにかく素直じゃない」

「まぁ、そこはそうだね。もう少し素直になれば良いのに……って思う時があるぐらい」

「そして計算高い。どんな行動を取るにしても、まずは色々な事を予測して動く」

「そうそう! 本当にムカつくんだよね、あの腐れおねえ! 今度の事だって、ナーザスの考えを計算してこんな馬鹿な事をしてるんだよ? 酷くない?」

 ナーザスの言葉にセシアはプンプンと頭から湯気を上げて怒り出す。

 おおよそ姫様とは思えない様な幼稚な怒り方をしていた。

 まぁ、可愛い怒り方ではあるんだけどね。

「そうだね……きっと、ルフレは俺が守ろうとするのを見越して、わざわざ密売組織の暴露を盾に結婚を迫ると言う暴挙に出たんだと思うし、そんな事を言われたら「俺も冷静でなんか居られない」って計算したんだろう。本当、見事だよ……俺も「彼女の策略にまんまと乗せられた」感じかな」

 答えたナーザスは、言ってから苦笑いだ。

 正直、この逆強請の書簡を貰った時は、本気で思ったものだ。

 なんなんだ? あのツンデレ王女は! 流石にやり過ぎだろ!……と。

 そして、かなり焦った事で冷静では居られなかった。

 その結果、ナーザスは冷静な答えを「すぐには見つけられなかった」のだ。

「どう言う……事?」

「ルフレは、俺に暴挙とも言える結婚を迫った。俺は焦ってしまい、冷静な判断が取れなかった。セシアは怒って、ルフレを糾弾する為に動いて……今、ここにいる」

 淡々と声を吐き出し、これまでの流れを軽く口にして行ったナーザスは、そこで重く吐息を吐き出した。

 正直……本当に正直、ナーザスはセシアに言いたくなかったのだろう。

 きっと、否……違う。

 確実にルフレはこの言葉をセシアにだけは知って欲しくなかったに違いないのだから。

 果たして。

「それ以上の事は言わなくてもよろしいのではありませんか!」

 重い吐息の後……再び口を開こうとしたナーザスの言葉より早く、予想外の方向から女性の声が転がって来た。

 声の方向を見ると、そこには金髪碧眼の美女が。

 瓜二つは言い過ぎにせよ、セシアに良く似た美女であった。

「ルフレ姉さま……」

 セシアは答える。

 苦々しい顔になって。

「あら、セシア? 無事だったのね?……さっき「偶然居合わせた」宮廷魔導士が、あなたに挨拶をすると言っていたから、私も少し心配していたのだけれど……杞憂だったわね? 安心したわ」

 他方、ルフレは悪びれた風もなくセシアへと声を吐き出して行く。

 偶然居合わせた宮廷魔導士は、きっとさっきのゴーレム使いの事だろう。

 亜明が居たので瞬殺だったが、護衛がリリアのみであった場合なら苦戦は必死だったに違いない。

「このぉ……いけ、しゃあしゃあとぉぉ……っ!」

 セシアは両手コブシをギュッ! っと握りしめながら、怒り心頭状態で声を絞り出す。

 安い挑発レベルではあったが、見事に乗ってしまった。

「待て、セシア!……それと、ルフレも! お前……本当にこれで良いのか? いや、違うな……これ良い訳がない」

 程なくして、二人の間に入る様にしてナーザスが口を開いた。

「ええ、そうよ。これで良い訳がない!」

 直後、ナーザスの言葉にセシアは素早く相づちを打つ。

 そこからセシアはビシッ!……っと、ルフレを指差してから、高らかに声を放って見せる。

「プラム王家・第二王女、ルフレ・ロードル・プラム! あなたの悪行は全てこの私……セシア・ロードル・プラムが暴きました! もはや言い逃れは出来ません! 国家反逆罪と言う、最も不逞かつ非道極まりない罪……その全てを償う時が来たのです!」

「……って台詞を、お前が言うのも「ルフレの計算」だったら……セシア、お前はどう思う?」

 居丈高になって、勝ち誇る様に言い放ったセシアがいた直後、ナーザスは補足する形で声を出した。

 答えたナーザスの表情は、なんとも悲しい顔になっていた。 

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