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最強の能力を貰ったら、もれなく有名になると死ぬ呪いも付与された。  作者: 雲州みかん
プロローグ そうだ! 脱サラしよう!
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そうだ、脱サラしよう!

 遊び惚けたら三十を過ぎ、何も考えないまま生きたら四十を超えてしまった。

 四十を過ぎて未だ独身。

 加えて万年平社員。

 こんな生活してて楽しいの?……と問われたら、三秒を必要とする事なく言える。そんな訳がない!

 この調子なら、確実に五十を超えても同じ日常の繰り返しだろう。

 生活に困りはしないけど、自宅と会社を往復するだけの生活をひたすら脳死状態で繰り返すだけの日々。

 嫁も居ないし、子供も居ないし、金もあんまりない。

 楽しみと言えば、パソコンに噛り付くかコントローラーを握る事。

 これで生涯を閉じる可能性は濃厚かつ豊満!

 果たして、ここで豊満と言う表現は日本語としてどうなの?……と言う疑念を胸にしまい、彼こと三橋雄太は思った。

「そうだ! 脱サラしよう!」

 それは純度100%の思い付き。

 もはや、それ以外に解釈を付ける事が出来ないだろう、完全無欠の思い付き。

 齢四十五にして、人生を舐め腐ってる様な衝動に駆られてしまった。

 かくして、雄太は二十年間通った会社勤めを、あたかも京都に行く程度のノリで終わらせてしまった。

 貯金はそこそこある。

 切り詰めれば一年ぐらいは金に不自由しないだろう。

 切り詰めている時点で十分金に不自由してるんだけど、大丈夫だろう。

 思い、雄太は一念発起してパソコン画面に噛り付いては、ネットから色々な物を買いあさる。

 購入した物は、旅行グッズ。

 旅先で色々使うんじゃないのかなぁ?……と、思う様な物を次々とポチッて行き、それらをリュックの中に詰め込んで行く。

 雄太は常々考えていたのだ。

 会社を辞めたら旅に出ようと。

 誰も知らない前人未踏の土地を、この足で踏破してやろうと!

 実際問題、全国の秘境に行った所で文字通り「前人未踏」なんて場所は絶無に近い筈なんだけど、一人で勝手に盛り上がっていた。

 色々と旅支度をしつつ、スイッチを持って行くかスチームデックを持って行くかで三十分程度悩んだ後、彼は背中にリュックをしょい込み、自宅玄関のドアを意気揚々と開けた。

 雄太は思った。

 ドアの先には新世界が待っていると。

 まだ見ぬ世界が、視界一面に広がっていると。

 実際に開けた先にあるのは家の外にある見慣れた光景に繋がっているんだけど、そこに新世界があると思い込んでは、瞳をキラキラさせながら玄関ドアを開けた。


 果たして……そこには新世界があった。

 

「……は?」

 雄太は惚けた。

 ポカンとなって、数秒ぐらいは思考が停止してしまった。

 そりゃそうかも知れない。

 だって、自宅玄関のドアを開けたら、その先が洞窟の様な物になってたのだから。

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