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島の国 -6-

人々が島の国へ行く理由。

島の国が、国として存在している理由。

そして、島の国が、島の国である理由。

島と、そして、政府と。

互いの関係性の、記述。

島の国へ、人が旅立つ理由。

その多くはやはり見たことのない景色への憧れが大きいという。

それもそのはず、大小様々な島から成る光景は、十七大陸のどこにも無い風景である。

海に浮かぶ物の景色としては、各海岸国家にある灯台が、せいぜいである。

そういった国家の中で、海に浮かぶ島を持っているという、それ自体が興味の対象である。

更にはその島が、国内に数多く点在している。

たった一度でも、島の国に訪れれば、水平線は常にひとつの線であると教わっていた各国の者たちも、実際に水平線に凹凸の姿を見ることになる。

そんな光景だけでも、常識を大きく覆すのには十分すぎるほどの衝撃を与えているという。

水平線は、線ではない。

島の国が国交を拓いた頃に訪れた使節は皆、その光景に度肝を抜かれたという。

それほどの衝撃を、未だに持ち続けている。


それもそのはず、十七大陸は長年に渡る統一戦線の影響によって、国家間の交流はさほど活発ではない。

例外的に風下の国という商業国家は存在しているものの、大半の国家は他国の受け入れには消極的である。

それ故に他国の情報の鮮度はどうしても落ちてしまうという状況がある。

島の国に限って言うならば、島の国で仕入れた情報は、一旦陸路で隣国まで運ばれ、その後載せ替えた運搬路で各国へと送られる。

端的に言えば、対岸の国家までの水運が確立していないため、大きく陸路で外回りをする必要がある。

そんな理由から、情報には尾ひれ葉ひれが付いてしまうことは、十七大陸では良くあること。

それが島の国では良い方向へと働いていた。

絶世とも言えるこの景色、一度も見ずに死ぬことは出来まい。

とある国の著名な作家がそう書き残したという噂が巡り巡って、十七大陸を覆ったことがあった。

それからというものの、島の国へは観光者が絶えなくなったという。


最初の頃は無条件の受け入れを行っていたものの、時代を下るにつれて滞在者への不満が生まれるようになった。

それらの吸い上げと調整を行ってきたのが、政府であった。

政府は統一に際しても尽力しており、各島は持ちつ持たれつの関係を形成していた。

しかし、対外的な調整は政府に頼るところが大きく、各島はその統括を一任している。

それだけに政府の威光は強く、政府の方針に各島は従うところが大きい。

一時期はパワーバランスから政府が強く出ていた部分があったものの、近年の首長に変わってからは意見の一致を図るよう方針が変わってきている。

それだけに島の国政府の決定は法的だけでなく、民衆レベルまでに拘束力が強い。

国外の人間がその禁を破ろうものなら、国外追放すら許されない事態にまで発展しかねない。

その際にも、国外への通達、処遇の決定の全てを政府が行うとまであれば、外国人である旅行者は従わざるを得ない。

元来、島の国への流刑民も多く流されていた。

その者たちによる蛮行や、制圧もまた、島の国の持つ大きな歴史のひとつである。

その際にも、政府が存在していることによって、法的執行などの重大な決定を担ってきた。


このような経緯から、各島で独立の統治を行いながらも、政府への強い信頼がある国家。

それが、島の国なのである。

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