絵に描いたような美しい人
裕斗と付き合っている設定です。元の設定なので愛良は出てきていません。
「蓮は、絵について詳しいんだったな」
ファートルの屋根裏部屋で過ごしていると、不意に言われた。
「お前ほど詳しいわけじゃないぞ」
蓮はフフッと笑う。「サヤカ」と同じような、それでいて違うような、そんな笑みだった。ただ、一つ分かるのは自分を慈しみの目で見てくれていること。
裕斗は立ち上がり、蓮の隣に座った。
「どうした?」
「お前の瞳を見せてくれ」
頬を包むように添えると、蓮は「別に構わないが」と恋人を見つめた。
宝石のように美しい神秘的な輝きを持っていながら、強い決意に満ちた情熱を宿している。そして、万華鏡のようにいろいろな輝きを見せるのだ。こんなに綺麗な瞳を持つ人を、裕斗は初めて見た。
――絵に描いてみたい。
しかし、今の自分には「成雲 蓮」という人物を完全に描くことが出来ないのだろうと思う。もしかしたらずっと無理かもしれない。だって、彼女はいろいろな表情を見せる。まさに、「シェイプシフター」と呼ぶにふさわしい人物だった。
「……あ、あの、あまりじっと見ないで……くれ……」
頬を赤く染めたその姿は、きっと恋人にしか見せないもの。
――あぁ、これなら描けるかもしれない。
だってこれは、今この瞬間の自分にしか見られないものなのだから。
数年後、画家となった裕斗が最初に描いたのは、恋人である黒と白の髪の女性が頬を染めながら微笑んでいる姿だった。




